アローダイアグラムとは?遅らせられない道を1本決める
アローダイアグラムは、作業を矢印でつないで、どれが先でどれが後かを1枚に表した図です。PERT図とも呼ばれます。新QC七つ道具の1つで、資格試験でもよく出てきます。
試験では計算の道具として出てきますが、現場での役目は別です。どの作業が遅れると全体が遅れるのか、その1本の道を決めることです。この記事では、作業の並べ方から、遅らせられない道の見つけ方までまとめます。
この記事の内容(8項目)
アローダイアグラムは「遅れてよい作業」を分ける図
対策がいくつも重なると、どれから手を付けるかで迷います。全部を同じように急ぐと、人も時間も足りません。
アローダイアグラムを書くと、作業が2つに分かれます。1日でも遅れたら全体が遅れる作業と、多少遅れても全体に響かない作業です。前者の連なりをクリティカルパスと呼びます。
急ぐところが分かると、人の配り方が決まる
全部の作業に同じだけ人を付ける必要はありません。遅らせられない道の上にある作業に人を寄せると、全体が早く終わります。
逆に、道の外にある作業は、多少後回しにしても完了日は変わりません。ここを知らずに全部を追いかけると、急ぐ必要のない作業に時間を使うことになります。
アローダイアグラムの書き方は3段階
書き方はそれほど難しくありません。順に3つです。
| 段階 | やること | つまずきやすいところ |
|---|---|---|
| 作業を出す | やることを1つずつ書き出す | 粒度がばらばらになる |
| 前後をつなぐ | 何が終わらないと始められないかを決める | 本当は同時にできるものを直列にしてしまう |
| 日数を入れる | 各作業に何日かかるかを入れる | 待ち時間を入れ忘れる |
粒度は「担当が1人に決まる大きさ」でそろえる
1つの作業が2時間のものと2週間のものが混ざると、図が読めません。目安は、担当が1人に決まり、終わったかどうかが一言で言える大きさです。
対策の日程なら、半日から1週間くらいが扱いやすい粒度になります。細かすぎると図が巨大になり、粗すぎると遅れが見えません。
待ち時間を作業として書く
いちばん多い抜けが、待ち時間です。材料の入荷待ち、承認待ち、乾燥や養生の時間、外注先の作業。手を動かしていない時間も、日程には効いてきます。
これを入れずに図を書くと、計算上は間に合うのに実際は間に合わない、という形になります。待ちも1本の矢印として書きます。
同時にできるものは並べる
順番を決めるときに、念のため直列にしてしまうことがあります。本当に前の作業の結果が要るのかを1つずつ確かめます。並べられる作業が増えるほど、全体は短くなります。
遅らせられない道を見つける
作業と日数が並んだら、始まりから終わりまでの道を全部たどって、いちばん日数の長い道を探します。それがクリティカルパスです。
道が複数ある図では、短い道には余裕があります。この余裕を余裕日数と呼びます。余裕がゼロの道が、遅らせられない道です。
| 状態 | 読み方 | やること |
|---|---|---|
| 余裕がゼロ | 1日遅れると全体が1日遅れる | 人を寄せる。毎日進み具合を見る |
| 余裕が数日ある | その範囲なら全体に響かない | 週1回の確認で足りる |
| 余裕が大きい | 後回しにできる | 手が空いたときに進める |
短くするなら、道の上だけを見る
納期を縮めたいとき、手当たり次第に短縮しようとしても効きません。クリティカルパスの上にある作業を短くしたときだけ、全体が短くなります。
短くする手は3つです。人を増やす、作業を分けて同時に進める、前後関係を見直して並べる。3つ目がいちばん費用がかからないので、先に検討します。
ガントチャートとの使い分け
日程を表す図としては、ガントチャートのほうが社内でよく使われています。どちらが良いかではなく、役目が違います。
ガントチャート
いつからいつまでを横棒で進み具合を見るのに向く
前後関係がはっきり出ない。
アローダイアグラム
何の後に何ができるかを矢印で遅れの影響を見るのに向く
日々の進み具合は読みにくい。
実務では、計画を立てるときにアローダイアグラム、進み具合を追うときにガントチャートという使い分けが回ります。前後関係を1回整理しておけば、ガントに落としても順番を間違えません。
遅れが出たときに、アローに戻る
ある作業が3日遅れたとき、全体が3日遅れるのか、それとも吸収できるのかは、ガントチャートだけでは読めません。余裕日数を持っているかどうかで決まります。遅れの報告が来たら、アローダイアグラムに戻って確かめます。
小さい対策には要らない
作業が5つ以下で、順番も自明なら、図を書く価値はありません。やることの一覧に期限を書くだけで足ります。図を書くのは、作業が10を超えて前後関係が絡んだときです。
対策の日程に使うときのコツ
不具合の対策は、複数の作業が同時に動きます。暫定の手当て、原因の調査、恒久の対策、標準の改訂、教育。これらが絡むときに、アローダイアグラムが効きます。
- 暫定と恒久を分けて書く|暫定は今すぐ、恒久は調査の後。別の道として並べます
- 承認の日を入れる|図面の変更や設備の改造は、承認待ちが日程を決めることがあります
- 効果の確認を入れる|対策を打って終わりではなく、効果を見るところまで図に入れます
- 報告の期限から逆算する|顧客への回答期限が決まっているなら、そこを終点に置きます
暫定の手当ては、恒久対策の完了とは別の道です。暫定対策と恒久対策の違いを分けたうえで、それぞれの終わりを図に置きます。
同じ対策を複数の工程へ広げる場合は、日程の前にマトリックス図で対象を確定させます。どこまで広げるかが決まっていないと、日程も決まりません。
外注先の作業を1本の矢印にする
外に出している作業は、中の進み具合が見えません。依頼した日と、返ってくる予定の日を結んだ1本の矢印として書きます。中で何が起きているかは書けなくても、日程には乗ります。
図は1枚に収める
作業が増えると図が大きくなり、誰も見なくなります。1枚に収まらないなら、粒度が細かすぎます。大きくまとめてから、必要な部分だけ別紙にします。
アローダイアグラムが向かない場面
次の3つの場面では、図を書いても計画が当たりません。
| 場面 | なぜ向かないか | 代わりに使うもの |
|---|---|---|
| 何日かかるか分からない作業がある | 日数が入らないと道が計算できない | まず調査だけを1本の作業として置く |
| やることが途中で大きく変わる | 図を書き直す手間のほうが大きくなる | やることの一覧と期限で回す |
| 作業が5つ以下 | 前後関係が自明で、図にする意味が無い | 一覧に期限を書く |
日数が読めない作業は、区切って置く
原因の調査のように、何日かかるか分からない作業があります。この場合は「3日調べて、そこで一度判断する」という区切りを作業として置きます。日数が入れば、図は動きます。
図が当たらなかったときに直す
計画どおりに進まないのは普通のことです。ずれた理由を1行書いて、図を直します。ずれを直さずに古い図を使い続けると、報告の数字と現場の実態が離れていきます。
社内で回すための3つの決めごと
アローダイアグラムを対策の日程に使うなら、決めることは3つです。
- 作業の粒度|担当が1人に決まり、終わったかどうかが一言で言える大きさ。半日から1週間が目安
- 待ちの扱い|入荷待ち、承認待ち、養生や乾燥。手を動かしていない時間も矢印にする
- 見直す間隔|作業が1つ終わるたびに、遅らせられない道が変わっていないかを見る
この3つが決まっていれば、誰が書いても同じ形になります。
終点を1つに決める
図の終わりが「対策完了」なのか「効果確認まで」なのかで、日程は大きく変わります。終点を先に決めてから作業を並べます。顧客への回答期限があるなら、そこを終点にします。
書いた図を会議で使う
図を作っても、進み具合の話をするときに別の資料を見ていたら意味がありません。その図の上で「いまここ」を指して話すようにすると、遅れの影響がその場で共有できます。手書きの図を毎回持っていくだけで足ります。
よくある質問
- Q. アローダイアグラムとPERT図は違うものですか。
- ほぼ同じものを指します。新QC七つ道具ではアローダイアグラム、工程管理の分野ではPERT図と呼ばれることが多い、という違いです。書き方も読み方も同じです。
- Q. クリティカルパスとは何ですか。
- 始まりから終わりまでの道のうち、いちばん日数の長い道です。この道の上の作業が1日遅れると、全体が1日遅れます。余裕日数がゼロの連なり、とも言えます。
- Q. クリティカルパスは途中で変わりますか。
- 変わります。遅らせられない道の作業を短くすると、次に長い道がクリティカルパスになります。作業が終わるたびに見直します。
- Q. 待ち時間も書きますか。
- 書きます。入荷待ち、承認待ち、養生や乾燥。手を動かしていない時間も日程には効きます。ここを入れないと、計算上は間に合うのに実際は間に合わない形になります。
- Q. 納期を縮めたいときはどこを短くしますか。
- クリティカルパスの上にある作業だけです。道の外を短くしても全体は変わりません。まず前後関係を見直して並べられないかを検討すると、費用がかかりません。
- Q. ガントチャートとどちらを使いますか。
- 計画を立てるときにアローダイアグラム、進み具合を追うときにガントチャートが回ります。遅れの影響を知りたいときはアローに戻ります。
- Q. 作業が何個くらいから図にする価値がありますか。
- 10個を超えて前後関係が絡んだあたりからです。5つ以下なら一覧に期限を書くだけで足ります。
- Q. 日数が読めない作業があります。
- 「3日調べて、そこで一度判断する」のように区切りを作業として置きます。日数が入れば図は動きます。調査そのものを終わりの見えない1本にしないのが要点です。
- Q. 計画どおりに進みませんでした。
- ずれた理由を1行書いて、図を直します。古い図を使い続けると、報告の数字と現場の実態が離れます。ずれること自体は普通のことです。
- Q. 外注に出している作業はどう書きますか。
- 依頼した日と、返ってくる予定の日を結んだ1本の矢印として書きます。中で何が起きているかは書けなくても、日程には乗ります。
- Q. 図の終わりはどこにしますか。
- 終点を先に決めてから作業を並べます。「対策完了」までか「効果確認」までかで日程が大きく変わります。顧客への回答期限があるなら、そこを終点にします。
- Q. 図はどこで使いますか。
- 進み具合を話す会議で、その図の上で「いまここ」を指して話します。別の資料を見ていると、遅れの影響がその場で共有できません。手書きの図で足ります。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。