系統図とは?目的から手段へ下ろして、実行できる形にする
系統図は、1つの目的を左に置いて、それを実現する手段を右へ枝分かれさせていく図です。新QC七つ道具の1つで、木が横に倒れたような形になります。
形は単純ですが、実務でつまずくのはいつも同じところです。枝の末端が、そのままでは実行できない言葉で止まる。この記事では、目的の決め方から、末端が実行できる粒度かどうかの見方までまとめます。
この記事の内容(8項目)
系統図は「やることの一覧」を作る図
系統図の役目は、抽象的な目的を、手を動かせる作業まで下ろすことです。
「不良を半分にする」という目標は、そのままでは誰も動けません。何をすればよいか決まっていないからです。系統図は、この間を段階的に埋めていきます。
「どうやって」で右へ、「なぜ」で左へ
下ろすときは、左の項目に対して「どうやって」と聞きます。出てきた答えが右の枝です。
確かめるときは逆に、右から左へ「なぜそれをやるのか」と読みます。答えが左の項目になっていれば、つながっています。ここで話が飛んでいたら、間に1段足りません。
系統図には2つの型がある
使う場面によって、2つの型を使い分けます。
方策を展開する型
目的から手段へ下ろすやることを出すときに使う
対策の検討はこちら。
構成要素を分ける型
全体を部分に分けていくもれなく分けたいときに使う
点検項目の洗い出しなど。
改善の場面でよく使うのは、方策を展開する型です。構成要素を分ける型は、設備を部位に分けて点検項目を作るといった使い方に向きます。
| やりたいこと | 使う型 |
|---|---|
| 対策の案を出したい | 方策を展開する型 |
| 点検の抜けを無くしたい | 構成要素を分ける型 |
| 目標を現場の行動に下ろしたい | 方策を展開する型 |
| 作業を手順に分けたい | 構成要素を分ける型 |
2つを混ぜない
1枚の図の中で、途中から分け方が変わることがあります。ある段までは手段、その先は部位になっているという形です。読む人が迷うので、型を先に決めて最後までそろえます。
末端が実行できる粒度かを見る
系統図でいちばん多い失敗は、右端が実行できない言葉で止まることです。
| 末端の言葉 | 実行できるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 意識を高める | できない。誰が何をするか不明 | 何を見て何をするかまで下ろす |
| 管理を徹底する | できない。徹底の中身が無い | 頻度と記録の形を決める |
| 朝礼で前日の不良を読み上げる | できる。誰がいつ何をするか分かる | そのまま担当と開始日を書く |
見分け方は1つです。その言葉を読んで、明日の朝に何をするかが決まるか。決まらなければ、もう1段右へ下ろします。
末端に担当と期限を書く
末端まで下りたら、そのまま担当と開始日、期限を書き足します。ここまで書けば、系統図がそのままやることの一覧になります。別に計画表を作り直す必要がありません。
段の数は3段から4段
2段で止まると抽象的なままになり、5段を超えると図が横に伸びて読めません。3段から4段で末端が実行できる形になるのが、ちょうどよい深さです。
全部はやらない。選ぶ基準を決める
系統図を書くと、末端が20も30も出てきます。全部を同時にやることはできません。選ぶ基準を決めてから絞ります。
- 効き目|目的にどれくらい近づくか
- 手間|どれくらいの時間と費用がかかるか
- すぐ始められるか|承認や購入が要らないもの
- 戻せるか|うまくいかなかったときに元に戻せるか
この4つで見ると、効き目が中くらいでも、すぐ始められて戻せるものが最初の一手になりやすくなります。大きな投資は、小さい手で効果を確かめてからにします。
選ばなかった枝も残す
やらないと決めた枝は、消さずに残して「今回はやらない」と1行書きます。次に同じ目的で集まったときに、検討済みかどうかが分かります。
比較して選んだ経緯は、対策案の選び方と同じ形で残しておくと、後から説明できます。
選んだ枝を計画に移す
選んだ末端が5つ以上あって前後関係があるなら、アローダイアグラムに移して日程を組みます。3つ以下なら、系統図に期限を書くだけで足ります。
書くときの進め方
系統図は1人でも書けますが、枝の数は人数で決まります。3人か4人で書くと、1人では出ない手段が出てきます。
付箋で出してから並べる
いきなり紙に木を描こうとすると、段の深さを気にして手が止まります。先に付箋で手段を出して、後から段に並べます。並べる段階で、足りない段が見えてきます。
同じ段の粒度をそろえる
1つの段に、大きい手段と細かい手段が混ざると読みにくくなります。横に並んだものが同じくらいの大きさかを確かめます。1つだけ細かいものがあれば、1段右へ移します。
目的は1つだけ書く
左端に2つの目的を並べると、枝がどちらのものか分からなくなります。目的が2つあるなら、図を2枚に分けます。手段が重なっても構いません。重なったところは、優先して取り組む理由になります。
系統図が向かない場面
次の3つの場面では、系統図を書いても前に進みません。
| 場面 | なぜ向かないか | 代わりに使うもの |
|---|---|---|
| 原因がまだ分かっていない | 手段を出しても的が外れる | 特性要因図で候補を広げる |
| やることがすでに1つに決まっている | 展開する意味が無い | そのまま計画表へ |
| 意見がばらばらでまとまらない | 目的が1行に決まらないと書き出せない | 親和図法で論点をまとめる |
原因の把握が先
不具合の対策で系統図を使うなら、原因が分かった後です。原因が分からないまま手段を並べると、効かない対策の一覧ができます。順番を守るほうが、結局は早く着きます。
目的が決まらないときは、先にまとめる
関係者の意見がばらばらで、目的が1行にならないことがあります。その場合は、先に意見をまとめる作業が要ります。まとまってから系統図という順番にします。
社内で回すための3つの決めごと
系統図を使い続けるために決めることは、3つです。
- 末端の基準|「明日の朝に何をするかが決まるか」。徹底・強化・意識の3語を末端に置かない
- 選ぶ基準|効き目・手間・すぐ始められるか・戻せるか。この4つで絞る
- 残し方|選ばなかった枝も残して「今回はやらない」と1行書く
この3つを紙の隅に印刷しておくと、書く人が代わっても同じ深さまで下ります。
書いた図を、後から答え合わせする
3か月後に図を出して、選んだ枝が実際にやられたか、効いたかを見ます。やられていなければ、粒度が粗かったか、担当が決まっていなかったかのどちらかです。
目的の1行を、そのまま報告に使う
左端に置いた目的の1行は、報告のときの見出しにそのまま使えます。目的・やったこと・結果の3つがそろった報告は、系統図から自動で作れます。別に資料を作らずに済みます。
よくある質問
- Q. 系統図とロジックツリーは違うものですか。
- 考え方はほぼ同じです。新QC七つ道具では系統図と呼び、経営や企画の分野ではロジックツリーと呼ばれることが多い、という違いです。目的から手段へ下ろす点は共通です。
- Q. 2つの型はどう使い分けますか。
- 対策の案を出すなら方策を展開する型、点検項目のようにもれなく分けたいなら構成要素を分ける型です。1枚の中で型を混ぜないようにします。
- Q. 何段まで下ろしますか。
- 3段から4段が目安です。末端を読んで、明日の朝に何をするかが決まるかで判断します。決まらなければもう1段下ろします。
- Q. 末端が「徹底する」になってしまいます。
- まだ下りていない合図です。徹底・強化・意識の3語を禁止して書くと、自然に1段深くなります。頻度と記録の形まで決めると実行できる形になります。
- Q. 出てきた末端を全部やる必要がありますか。
- ありません。効き目・手間・すぐ始められるか・戻せるかの4つで絞ります。効き目が中くらいでも、すぐ始められて戻せるものが最初の一手になりやすい形です。
- Q. やらないと決めた枝は消しますか。
- 消しません。「今回はやらない」と1行書いて残します。次に同じ目的で集まったときに、検討済みかどうかが分かります。
- Q. 1人で書いてもよいですか。
- 書けますが、枝の数は人数で決まります。3人か4人で書くと、1人では出ない手段が出てきます。付箋で出してから並べると進みます。
- Q. 目的が2つあります。
- 図を2枚に分けます。左端に2つ並べると、枝がどちらのものか分からなくなります。手段が重なった場合、そこは優先して取り組む理由になります。
- Q. 対策の日程はどう作りますか。
- 選んだ末端が5つ以上あって前後関係があるなら、アローダイアグラムに移します。3つ以下なら系統図に期限を書くだけで足ります。
- Q. 同じ段の粒度がそろいません。
- 横に並んだものが同じくらいの大きさかを確かめます。1つだけ細かいものがあれば、1段右へ移します。そろっていないと読みにくくなります。
- Q. 付箋を使う意味はありますか。
- あります。いきなり木を描こうとすると、段の深さを気にして手が止まります。先に付箋で出して、後から段に並べると、足りない段が見えてきます。
- Q. 書いた図は後でどう使いますか。
- 3か月後に出して、選んだ枝が実際にやられたか、効いたかを見ます。やられていなければ、粒度が粗かったか担当が決まっていなかったかです。
- Q. 報告の資料は別に作りますか。
- 作らずに済みます。左端の目的の1行が、そのまま報告の見出しになります。目的・やったこと・結果の3つが系統図からそろいます。
- Q. 系統図は何人で書きますか。
- 3人か4人が目安です。枝の数は人数で決まります。1人だと、その人の知っている手段しか出てきません。
- Q. 目的はどう決めますか。
- 1行で書ける形にします。「不良を半分にする」のように、達したかどうかが後から言い切れる書き方にします。決まらないうちは枝を出しても的が外れます。
- Q. 「なぜ」で読み返すのはなぜですか。
- 右から左へ「なぜそれをやるのか」と読むと、つながりが切れている段が見つかります。答えが左の項目にならなければ、間に1段足りません。
- Q. 点検項目を作るのにも使えますか。
- 使えます。その場合は構成要素を分ける型です。設備を部位に分けていくと、見る場所のもれが減ります。方策を展開する型とは混ぜません。
- Q. 選んだ枝はどこに書きますか。
- 末端にそのまま担当と開始日、期限を書き足します。ここまで書けば、系統図がやることの一覧になり、計画表を別に作らずに済みます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。