親和図法とは?ばらばらの意見を、論点1行にまとめる
親和図法は、ばらばらに出てきた意見や気づきを、似たものどうしで集めて、論点の形にまとめていくやり方です。文化人類学者の川喜田二郎が考案したKJ法をもとにしていて、新QC七つ道具の1つに入っています。
やり方は単純ですが、結果に差が出るところが1つだけあります。集めたグループに、どんな名前を付けるか。ここで「〜の問題」と書いてしまうと、それ以上進みません。この記事では、意見の書き出しからグループ名の付け方までまとめます。
この記事の内容(8項目)
親和図法は「言葉のまま扱う」ための道具
数で測れるものは、集計すれば傾向が見えます。ところが現場で出てくるものの多くは、数ではなく言葉です。「最近、確認に時間がかかる」「新しい人に説明しづらい」といった声は、足し算できません。
親和図法は、この言葉のまま扱うための道具です。似たものを集めて、そこに名前を付けることで、ばらばらの声が論点に変わります。
使う場面は3つ
- 問題が漠然としている|何が問題かを言葉にする前の段階
- 意見が割れている|どこで割れているのかを見えるようにする
- 声を集めたが使えていない|アンケートや日報の自由記述がたまっている
逆に、問題がすでに1行で言えているなら、この図は要りません。すぐ系統図で手段を出すほうが早く着きます。
出し方で、後の作業が決まる
集める前の書き出しが雑だと、後で寄せられません。書くときの決めごとは3つです。
| 決めごと | 理由 |
|---|---|
| 1枚に1件だけ書く | 2件書くと、2つのグループに入れられない |
| 事実か意見かを分かる形にする | 推測と事実が同じ束に入ると、後で確かめられない |
| 主語と述語のある文で書く | 単語だけだと、書いた人しか意味が分からない |
3つ目がとくに効きます。「確認」とだけ書かれた紙は、集める段階で意味が失われます。「出荷前の確認に前より時間がかかっている」まで書きます。
枚数は40枚から60枚
20枚では集めても意味のある塊になりません。100枚を超えると、寄せる作業だけで時間が終わります。1人10枚くらいを目安に、4人から6人で出すとちょうどよい量になります。
名前を書かない
誰が書いたかが分かると、立場で扱いが変わります。紙に名前は書きません。言葉だけで扱えるようにしておくと、寄せる作業が素直に進みます。
集めるときは、分類しない
ここがいちばん間違えやすいところです。先に分類の箱を作って、そこに紙を振り分けるのは親和図法ではありません。
箱を先に作ると、すでに知っていることの中にしか結果が出ません。親和図法では、紙を並べて、近いと感じたものを寄せるところから始めます。名前は後です。
分類する
先に箱を決める人・設備・材料などに振り分ける
知っている枠から出られない。
寄せる
近いものを並べる名前は後から付ける
思っていなかった塊が出る。
寄せるのは2枚から3枚で足りる
大きな束を作ろうとせず、2枚か3枚の小さな塊をたくさん作ります。小さい塊のほうが、名前を付けやすくなります。大きい塊は、名前が抽象的になります。
どこにも入らない紙は、1枚のまま残す
無理にどこかへ入れると、その紙の意味が消えます。1枚だけの塊があってよいと決めておきます。むしろ、孤立した1枚に大事な指摘が入っていることがあります。
黙って手を動かす時間を作る
話しながら寄せると、声の大きい人の分類になります。最初の5分は誰も話さずに紙を動かすと決めると、寄り方が変わります。
グループ名を1行で言い切る
親和図法の成果は、グループ名にほぼ全部入ります。ここで手を抜くと、集めた意味がなくなります。
| 名前の付け方 | 例 | 次に進めるか |
|---|---|---|
| 分野で止める | 教育の問題 | 進めない。何が問題か不明 |
| 状態を書く | 教える人によって説明が違う | 進める。確かめられる |
| 影響まで書く | 説明が人によって違い、やり方が2通りになっている | 進める。対策の的が決まる |
付け方のコツは、その塊の紙を読んだ人に、1文で伝えるなら何と言うかを書くことです。「〜の問題」「〜について」で終わる名前は、まだ言い切れていません。
名前は、塊の中の1枚から借りてもよい
うまい言い方が出ないときは、その塊の中でいちばん言い当てている紙を、そのまま名前にします。無理に抽象化しないほうが、意味が残ります。
名前を付けたら、もう一度寄せる
名前の付いた塊どうしで、また近いものが出てきます。2段目の塊を作って、そこにも名前を付けます。2段で止めるのがちょうどよい深さです。3段にすると、また抽象的になります。
まとめた後に何をするか
図ができた時点では、まだ何も決まっていません。ここから先が本番です。
- 掘る|論点を1つ選んで、なぜなぜ分析で原因まで下ろす
- 下ろす|論点を裏返して目的にして、系統図で手段を出す
- 数える|その論点が本当に大きいのか、件数や時間で確かめる
3つ目が抜けやすいところです。紙の枚数が多い塊が、いちばん大きい問題とは限りません。声の出やすいことほど紙が増えます。数で確かめられるものは、確かめてから順番を決めます。
全部の論点を追わない
塊が8個できたとして、8個全部に手を付けることはできません。2つか3つに絞ります。絞った理由を図の余白に書いておくと、後から説明できます。
図は写真で残す
付箋の図をきれいに清書するのは手間です。写真を1枚撮って、グループ名だけを文字で残します。これで十分に使えます。
親和図法が向かない場面
次の3つでは、この図を作っても前に進みません。
| 場面 | なぜ向かないか | 代わりに使うもの |
|---|---|---|
| 問題がすでに1行で言える | まとめる対象が無い | 系統図やなぜなぜ分析へ直行 |
| 数で測れるものを見たい | 言葉にすると情報が粗くなる | パレート図や管理図 |
| 結論を先に決めている | 寄せ方がその結論に寄っていく | やらない。決めた理由を説明する |
結論が決まっているなら、やらない
いちばん良くないのが、結論を先に持っている人が進行することです。紙の寄せ方がその結論に引っ張られ、「みんなで出した結論」という形だけが残ります。やるなら、進行は中立の人に任せます。
時間は60分で切る
出す20分、寄せる20分、名前を付ける20分。60分で一度形にします。長くやるほど良くなるものではありません。足りなければ、日を分けて2回目をやります。
社内で回すための3つの決めごと
親和図法を続けるために決めることは、3つです。
- 書き方|1枚1件、主語と述語のある文、名前は書かない
- 寄せ方|先に箱を作らない。最初の5分は黙って手を動かす
- 名前の付け方|「〜の問題」で終わらせない。状態か影響まで書く
この3つを紙の束と一緒に置いておくと、進行役が代わっても同じ形で回ります。
集めた紙は捨てない
グループ名だけを残して紙を捨てると、後から根拠が追えません。写真を撮っておけば足ります。半年後に同じ論点が出てきたとき、前の紙と比べられます。
出てきた論点を、次の会議の議題にする
図を作った日に全部を決める必要はありません。絞った2つか3つを、次の会議の議題として置きます。会議の議題が現場の言葉から出てくるようになると、集まる意味が変わります。
よくある質問
- Q. 親和図法とKJ法は違うものですか。
- 親和図法はKJ法をもとにしたもので、考え方はほぼ同じです。新QC七つ道具の中では親和図法と呼ばれています。
- Q. 紙は何枚くらい出しますか。
- 40枚から60枚が目安です。1人10枚くらいを、4人から6人で出すとちょうどよい量になります。20枚では塊になりません。
- Q. 先に分類の箱を作ってはいけませんか。
- 箱を先に作ると、すでに知っている枠の中にしか結果が出ません。近いものを寄せてから名前を付けるのが、この方法の要点です。
- Q. どこにも入らない紙はどうしますか。
- 1枚のまま残します。無理にどこかへ入れると意味が消えます。孤立した1枚に大事な指摘が入っていることがあります。
- Q. グループ名がうまく付けられません。
- 「〜の問題」で終わらせず、状態か影響まで書きます。言い方が出ないときは、その塊でいちばん言い当てている紙をそのまま名前にします。
- Q. 何段までまとめますか。
- 2段が目安です。3段にすると、また抽象的になります。2段目の塊に名前を付けたところで止めます。
- Q. 紙の多い塊がいちばん大きい問題ですか。
- 限りません。声の出やすいことほど紙が増えます。数で確かめられるものは、件数や時間で確かめてから順番を決めます。
- Q. まとめた後は何をしますか。
- 論点を2つか3つに絞って、なぜなぜ分析で掘るか、系統図で手段を出すかに進みます。図ができた時点では、まだ何も決まっていません。
- Q. 清書は必要ですか。
- 不要です。写真を1枚撮って、グループ名だけを文字で残します。これで後から使えます。清書に時間をかけるより、次の作業に進みます。
- Q. 意見を出す前にやることはありますか。
- 工程を1周してから書くと、内容が変わります。会議室で思い出しながら書くより、現物や記録を見てから書くほうが、具体的な紙が集まります。
- Q. 紙に名前を書きますか。
- 書きません。誰が書いたかが分かると、立場で扱いが変わります。言葉だけで扱えるようにしておくと、寄せる作業が素直に進みます。
- Q. 寄せるときに話してもよいですか。
- 最初の5分は黙って手を動かします。話しながら寄せると、声の大きい人の分類になります。
- Q. 時間はどれくらいかけますか。
- 出す20分、寄せる20分、名前を付ける20分の60分で一度形にします。長くやるほど良くなるものではありません。足りなければ日を分けます。
- Q. 進行役は誰がやりますか。
- 結論を先に持っていない人にします。結論のある人が進行すると、寄せ方がその結論に引っ張られます。「みんなで出した結論」という形だけが残ります。
- Q. まとめた論点は全部追いますか。
- 追いません。2つか3つに絞ります。絞った理由を図の余白に書いておくと、後から説明できます。
- Q. 集めた紙は捨ててよいですか。
- 捨てません。写真を1枚撮っておけば足ります。半年後に同じ論点が出てきたとき、前の紙と比べられます。
- Q. 論点が出た後、どう使いますか。
- 絞った2つか3つを、次の会議の議題として置きます。会議の議題が現場の言葉から出てくるようになると、集まる意味が変わります。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。