原因を掘る

親和図法とは?ばらばらの意見を、論点1行にまとめる

公開 2026-09-09更新 2026-09-22 執筆 改善板 編集部

親和図法は、ばらばらに出てきた意見や気づきを、似たものどうしで集めて、論点の形にまとめていくやり方です。文化人類学者の川喜田二郎が考案したKJ法をもとにしていて、新QC七つ道具の1つに入っています。

やり方は単純ですが、結果に差が出るところが1つだけあります。集めたグループに、どんな名前を付けるか。ここで「〜の問題」と書いてしまうと、それ以上進みません。この記事では、意見の書き出しからグループ名の付け方までまとめます。

なぜなぜ分析シート(Excel・無料)一つの問題について、原因を5段階で掘り下げるときだけ使う様式です。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る
この記事の内容(8項目)

親和図法は「言葉のまま扱う」ための道具

数で測れるものは、集計すれば傾向が見えます。ところが現場で出てくるものの多くは、数ではなく言葉です。「最近、確認に時間がかかる」「新しい人に説明しづらい」といった声は、足し算できません。

親和図法は、この言葉のまま扱うための道具です。似たものを集めて、そこに名前を付けることで、ばらばらの声が論点に変わります。

親和図法の進み方
1. 出す1枚1件で書く
2. 集める似たものを寄せる
3. 名を付ける1行で言い切る
4. 並べる関係を線でつなぐ
3で止まらずに書けるかどうかで、この図の価値が決まる

使う場面は3つ

  • 問題が漠然としている|何が問題かを言葉にする前の段階
  • 意見が割れている|どこで割れているのかを見えるようにする
  • 声を集めたが使えていない|アンケートや日報の自由記述がたまっている

逆に、問題がすでに1行で言えているなら、この図は要りません。すぐ系統図で手段を出すほうが早く着きます。

出し方で、後の作業が決まる

集める前の書き出しが雑だと、後で寄せられません。書くときの決めごとは3つです。

決めごと理由
1枚に1件だけ書く2件書くと、2つのグループに入れられない
事実か意見かを分かる形にする推測と事実が同じ束に入ると、後で確かめられない
主語と述語のある文で書く単語だけだと、書いた人しか意味が分からない

3つ目がとくに効きます。「確認」とだけ書かれた紙は、集める段階で意味が失われます。「出荷前の確認に前より時間がかかっている」まで書きます。

現物や記録を見てから書くと、内容が変わります。会議室で思い出しながら書くより、工程を1周してから書くほうが、具体的な紙が集まります。

枚数は40枚から60枚

20枚では集めても意味のある塊になりません。100枚を超えると、寄せる作業だけで時間が終わります。1人10枚くらいを目安に、4人から6人で出すとちょうどよい量になります。

名前を書かない

誰が書いたかが分かると、立場で扱いが変わります。紙に名前は書きません。言葉だけで扱えるようにしておくと、寄せる作業が素直に進みます。

集めるときは、分類しない

ここがいちばん間違えやすいところです。先に分類の箱を作って、そこに紙を振り分けるのは親和図法ではありません。

箱を先に作ると、すでに知っていることの中にしか結果が出ません。親和図法では、紙を並べて、近いと感じたものを寄せるところから始めます。名前は後です。

分類する

先に箱を決める
人・設備・材料などに振り分ける
知っている枠から出られない。

寄せる

近いものを並べる
名前は後から付ける
思っていなかった塊が出る。

寄せるのは2枚から3枚で足りる

大きな束を作ろうとせず、2枚か3枚の小さな塊をたくさん作ります。小さい塊のほうが、名前を付けやすくなります。大きい塊は、名前が抽象的になります。

どこにも入らない紙は、1枚のまま残す

無理にどこかへ入れると、その紙の意味が消えます。1枚だけの塊があってよいと決めておきます。むしろ、孤立した1枚に大事な指摘が入っていることがあります。

黙って手を動かす時間を作る

話しながら寄せると、声の大きい人の分類になります。最初の5分は誰も話さずに紙を動かすと決めると、寄り方が変わります。

グループ名を1行で言い切る

親和図法の成果は、グループ名にほぼ全部入ります。ここで手を抜くと、集めた意味がなくなります。

名前の付け方次に進めるか
分野で止める教育の問題進めない。何が問題か不明
状態を書く教える人によって説明が違う進める。確かめられる
影響まで書く説明が人によって違い、やり方が2通りになっている進める。対策の的が決まる

付け方のコツは、その塊の紙を読んだ人に、1文で伝えるなら何と言うかを書くことです。「〜の問題」「〜について」で終わる名前は、まだ言い切れていません。

名前は、塊の中の1枚から借りてもよい

うまい言い方が出ないときは、その塊の中でいちばん言い当てている紙を、そのまま名前にします。無理に抽象化しないほうが、意味が残ります。

名前を付けたら、もう一度寄せる

名前の付いた塊どうしで、また近いものが出てきます。2段目の塊を作って、そこにも名前を付けます。2段で止めるのがちょうどよい深さです。3段にすると、また抽象的になります。

まとめた後に何をするか

図ができた時点では、まだ何も決まっていません。ここから先が本番です。

まとめた後の3つの道
掘る1つの論点をなぜなぜ分析へ
下ろす目的にして系統図へ
数える数で確かめられるか見る
3つ目を飛ばすと、印象だけで優先順位を決めることになる
  • 掘る|論点を1つ選んで、なぜなぜ分析で原因まで下ろす
  • 下ろす|論点を裏返して目的にして、系統図で手段を出す
  • 数える|その論点が本当に大きいのか、件数や時間で確かめる

3つ目が抜けやすいところです。紙の枚数が多い塊が、いちばん大きい問題とは限りません。声の出やすいことほど紙が増えます。数で確かめられるものは、確かめてから順番を決めます。

全部の論点を追わない

塊が8個できたとして、8個全部に手を付けることはできません。2つか3つに絞ります。絞った理由を図の余白に書いておくと、後から説明できます。

図は写真で残す

付箋の図をきれいに清書するのは手間です。写真を1枚撮って、グループ名だけを文字で残します。これで十分に使えます。

現地確認記録表(Excel・無料)客先へ出向いて現物を見たときの、事実だけを記録します。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

親和図法が向かない場面

次の3つでは、この図を作っても前に進みません。

場面なぜ向かないか代わりに使うもの
問題がすでに1行で言えるまとめる対象が無い系統図やなぜなぜ分析へ直行
数で測れるものを見たい言葉にすると情報が粗くなるパレート図や管理図
結論を先に決めている寄せ方がその結論に寄っていくやらない。決めた理由を説明する

結論が決まっているなら、やらない

いちばん良くないのが、結論を先に持っている人が進行することです。紙の寄せ方がその結論に引っ張られ、「みんなで出した結論」という形だけが残ります。やるなら、進行は中立の人に任せます。

時間は60分で切る

出す20分、寄せる20分、名前を付ける20分。60分で一度形にします。長くやるほど良くなるものではありません。足りなければ、日を分けて2回目をやります。

社内で回すための3つの決めごと

親和図法を続けるために決めることは、3つです。

  • 書き方|1枚1件、主語と述語のある文、名前は書かない
  • 寄せ方|先に箱を作らない。最初の5分は黙って手を動かす
  • 名前の付け方|「〜の問題」で終わらせない。状態か影響まで書く

この3つを紙の束と一緒に置いておくと、進行役が代わっても同じ形で回ります。

集めた紙は捨てない

グループ名だけを残して紙を捨てると、後から根拠が追えません。写真を撮っておけば足ります。半年後に同じ論点が出てきたとき、前の紙と比べられます。

出てきた論点を、次の会議の議題にする

図を作った日に全部を決める必要はありません。絞った2つか3つを、次の会議の議題として置きます。会議の議題が現場の言葉から出てくるようになると、集まる意味が変わります。

よくある質問

Q. 親和図法とKJ法は違うものですか。
親和図法はKJ法をもとにしたもので、考え方はほぼ同じです。新QC七つ道具の中では親和図法と呼ばれています。
Q. 紙は何枚くらい出しますか。
40枚から60枚が目安です。1人10枚くらいを、4人から6人で出すとちょうどよい量になります。20枚では塊になりません。
Q. 先に分類の箱を作ってはいけませんか。
箱を先に作ると、すでに知っている枠の中にしか結果が出ません。近いものを寄せてから名前を付けるのが、この方法の要点です。
Q. どこにも入らない紙はどうしますか。
1枚のまま残します。無理にどこかへ入れると意味が消えます。孤立した1枚に大事な指摘が入っていることがあります。
Q. グループ名がうまく付けられません。
「〜の問題」で終わらせず、状態か影響まで書きます。言い方が出ないときは、その塊でいちばん言い当てている紙をそのまま名前にします。
Q. 何段までまとめますか。
2段が目安です。3段にすると、また抽象的になります。2段目の塊に名前を付けたところで止めます。
Q. 紙の多い塊がいちばん大きい問題ですか。
限りません。声の出やすいことほど紙が増えます。数で確かめられるものは、件数や時間で確かめてから順番を決めます。
Q. まとめた後は何をしますか。
論点を2つか3つに絞って、なぜなぜ分析で掘るか、系統図で手段を出すかに進みます。図ができた時点では、まだ何も決まっていません。
Q. 清書は必要ですか。
不要です。写真を1枚撮って、グループ名だけを文字で残します。これで後から使えます。清書に時間をかけるより、次の作業に進みます。
Q. 意見を出す前にやることはありますか。
工程を1周してから書くと、内容が変わります。会議室で思い出しながら書くより、現物や記録を見てから書くほうが、具体的な紙が集まります。
Q. 紙に名前を書きますか。
書きません。誰が書いたかが分かると、立場で扱いが変わります。言葉だけで扱えるようにしておくと、寄せる作業が素直に進みます。
Q. 寄せるときに話してもよいですか。
最初の5分は黙って手を動かします。話しながら寄せると、声の大きい人の分類になります。
Q. 時間はどれくらいかけますか。
出す20分、寄せる20分、名前を付ける20分の60分で一度形にします。長くやるほど良くなるものではありません。足りなければ日を分けます。
Q. 進行役は誰がやりますか。
結論を先に持っていない人にします。結論のある人が進行すると、寄せ方がその結論に引っ張られます。「みんなで出した結論」という形だけが残ります。
Q. まとめた論点は全部追いますか。
追いません。2つか3つに絞ります。絞った理由を図の余白に書いておくと、後から説明できます。
Q. 集めた紙は捨ててよいですか。
捨てません。写真を1枚撮っておけば足ります。半年後に同じ論点が出てきたとき、前の紙と比べられます。
Q. 論点が出た後、どう使いますか。
絞った2つか3つを、次の会議の議題として置きます。会議の議題が現場の言葉から出てくるようになると、集まる意味が変わります。
なぜなぜ分析シート(Excel・無料)一つの問題について、原因を5段階で掘り下げるときだけ使う様式です。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

この記事で使う無料テンプレート

本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。