原因を掘る

特性要因図とは?枝を出したあと、確かめる順を決める

公開 2026-09-02更新 2026-09-22 執筆 改善板 編集部

特性要因図は、1つの結果に対して考えられる要因を、魚の骨のような形に枝分かれさせて並べる図です。フィッシュボーン図とも呼ばれます。書き方そのものは単純で、白板と付箋があれば30分で形になります。

難しいのはその後です。枝がたくさん出た状態で会議が終わり、それきりになることが繰り返し起きます。この記事では、特性要因図を、特性の決め方・枝の出し方・出したあとに確かめる順の決め方までまとめます。

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この記事の内容(8項目)

特性要因図は「候補を広く出す」ための図

特性要因図の役目は1つです。思いつく要因を、もれなく出して並べることです。原因を突き止める図ではありません。

ここを取り違えると、図を書いたのに何も決まらない、という形になります。図が出すのは候補で、候補の中から本当の原因を選ぶのは、この図の外の作業です。

特性要因図

候補を広げる
横に並べる
もれを減らすのが目的。

なぜなぜ分析

1本を深く掘る
縦につなげる
手を打てる段まで行くのが目的。

使う順番は、広げてから掘るです。候補がまったく浮かばない状態でなぜなぜ分析を始めると、最初の1問で止まります。特性要因図で候補を並べてから、有力なものをなぜなぜ分析で掘ると、両方が生きます。

1人で書かない

特性要因図を担当者1人で書くと、その人の知っている範囲の枝しか出ません。もれを減らすのが目的なので、1人で書くと目的そのものが果たせません。

現場で作業している人、後工程の人、工程を決めた人。この3者が入ると、出てくる枝の数が変わります。会議の時間は30分で足ります。長くするより、人をそろえるほうが効きます。

特性要因図は、特性の書き方で9割決まる

図のいちばん右に書く「特性」が、結果にあたるものです。ここがあいまいだと、出てくる枝も全部あいまいになります。

書き方何が起きるか
広すぎる不良が多い枝が一般論だらけになる
あいまい品質が安定しない人によって想像するものが違う
絞れているA品の内径が上限を0.03mm超える枝が具体になり、確かめられる

特性は、数値と対象が入った1行にします。どの製品の、どの寸法が、どちらにどれだけ外れるのか。ここまで書けていれば、枝はほぼ自動で具体になります。

特性が絞れないときは、先にパレート図

「不良が多い」としか言えない段階なら、まず月次の不具合集計で件数を並べます。多い順に並べ替えたパレート図にすれば、上位1件がそのまま特性になります。

順番としては、パレート図で場所を決めて、特性要因図で候補を広げて、なぜなぜ分析で掘るという流れになります。どれか1つだけでは、途中で止まります。

特性は「悪い状態」で書く

「内径を安定させる」のような目標の形で書くと、枝が対策案になってしまいます。いま起きている悪い状態をそのまま書きます。対策を考えるのは、原因が決まってからです。

4Mで大骨を立てて、枝を出す

大骨には、要因の大きな分類を置きます。製造の現場では4Mを使うのが一般的です。

大骨中身出てくる枝の例
作業する人、教える人手順の理解、経験の差、引き継ぎ
設備機械、治具、工具摩耗、調整のずれ、保全の間隔
材料材料、部品、副資材ロット違い、保管の状態、入荷検査
方法手順、条件、段取り標準との差、条件の決め方、切替え

これに測定環境を足して6つにすることもあります。測る道具がずれていた、気温で寸法が動いた。この2つは見落としやすいので、足しておくほうが安全です。

枝は3段まで
大骨4Mの分類
中骨その中の要因
小骨具体の状態
小骨まで行くと「確かめられる文」になる。中骨で止まると調べに行けない

小骨まで下ろすと、確かめられる

中骨の「治具のずれ」で止めると、何を見に行けばよいか決まりません。小骨まで下ろして「治具の固定ねじが緩んでいる」まで書くと、現場で1分で確かめられます。

目安は、その枝を読んで、見に行く場所と見るものが決まるかです。決まらなければ、もう1段下ろします。

枝を出したあと、確かめる順を決める

ここが、多くの現場で抜けるところです。枝が30も40も出た図を前にして、何から手を付けるかを決めないまま会議が終わります。

決め方は単純です。2つの軸で印を付けます。

見るところ付ける印
今回の不具合と、時期や条件が合っているか合っていれば二重丸
確かめるのにどれくらいかかるかその場で見られるなら丸

二重丸と丸が重なった枝から確かめます。すぐ見に行けて、条件も合っているものが最優先です。時間のかかる調査は、その後で構いません。

印を付けるのは会議のその場でやります。持ち帰ると、次に集まったときには誰も図を覚えていません。枝を出す30分と、印を付ける10分を続けて取ると決めておきます。

確かめた結果を、図に書き戻す

調べた枝には、その場で結果を書きます。確かめて違った枝を消さずに残すのが要点です。消してしまうと、後から来た人が同じ枝をもう一度調べます。

書き方は、枝の横に日付と結果を1行だけ。「9/3 測定、ずれ無し」。これだけで、図が調査の記録に変わります。

誰がいつまでに確かめるかを書く

印を付けた枝には、担当と期限を書きます。会議の議事録に別で書くと、図と離れて追えなくなります。図の上で完結させるほうが、次に集まったときに早く進みます。

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枝が出てこないときにやること

会議を開いても枝が10個くらいで止まることがあります。人が足りないか、材料が足りないかのどちらかです。

  • 現物を持ってくる|不具合品を机に置くだけで、出てくる枝の数が変わります。写真より現物が効きます
  • 記録を並べる|発生した日の条件を横に並べます。共通点が見えると、そこから枝が伸びます
  • 工程を歩く|会議室を出て、実際の流れを見に行きます。手順書に無い動きが見つかります
  • 過去の似た不具合を出す|以前に同じような不具合があれば、そのときの枝が使えます

いちばん効くのは現物を持ってくることです。手で触ると、見ただけでは出ない枝が出てきます。

他の人の図を写さない

本やインターネットにある特性要因図の例をそのまま写すと、枝は埋まりますが、自社の現場とは関係のない図ができます。自分の工程で確かめられる枝だけを書きます。

出しすぎたら、まとめる

枝が50を超えると、図として読めなくなります。似た枝は1つにまとめて、大骨ごとに10本までを目安にします。まとめるときは、消すのではなく、代表の1本に寄せます。

特性要因図が向かない場面

次の3つの場面では、特性要因図を書いても前に進みません。別のやり方に切り替えます。

場面なぜ向かないか代わりに使うもの
原因がすでに分かっている枝を出す意味が無い。時間だけかかるそのまま対策の検討へ進む
いま止まっていて、急ぐ広く出す時間が無い。まず流出を止める初動の対応を先に回す
複数の条件が重なって起きる枝は単独の要因として並ぶので、重なりが見えない発生した日の条件を横に並べて共通点を探す

急ぐときは、後で書く

出荷を止めている場面では、先に応急の手を打ちます。特性要因図は、流出が止まってから落ち着いて書きます。順番を逆にすると、図を書いている間に被害が広がります。

書いた図は捨てない

1回使って終わりにせず、工程ごとにまとめて残します。次に似た不具合が出たときに、前の図の枝がそのまま出発点になります。確かめた結果が書き込まれていれば、なおさら早く進みます。

社内で回すための3つの決めごと

特性要因図を続けるために決めておくことは、3つです。

  • 大骨の並び|4Mにするか、測定と環境を足して6つにするか。毎回同じにしておくと、図どうしを比べられます
  • 集める人|現場・後工程・工程を決めた人。3者がそろわない日は延期する、まで決めておきます
  • 印の付け方|条件が合うものに二重丸、すぐ見られるものに丸。その場で付けて、担当と期限まで書く

この3つを1枚に書いて、シートのそばに置いておきます。担当が代わっても同じ形で回ります。

図を書く時間は30分で切る

長く話すほど良い図になるわけではありません。枝出し30分、印付け10分で区切ると、集まる負担が軽くなり、次も開けます。足りなければ2回に分けます。

確かめた結果を次につなぐ

印を付けた枝を確かめたら、結果を持ってもう一度集まります。違っていた枝を消し、残った枝を掘る。この2回目があるかどうかで、図が役に立ったかどうかが決まります。1回で終わらせると、枝が並んだ紙が残るだけになります。

よくある質問

Q. 特性要因図とフィッシュボーン図は違うものですか。
同じものです。魚の骨の形に見えることから、フィッシュボーン図とも呼ばれます。呼び方が違うだけで、書き方も使い方も同じです。
Q. 4Mのほかに何を大骨にしますか。
測定と環境を足して6つにする形がよく使われます。測る道具がずれていた、気温で寸法が動いたという要因は、4Mだけだと落ちやすくなります。
Q. 枝は何段まで出しますか。
3段が目安です。その枝を読んで、見に行く場所と見るものが決まるかで判断します。決まらなければもう1段下ろします。
Q. 特性要因図となぜなぜ分析はどちらを先にやりますか。
特性要因図が先です。広げてから掘ります。候補が浮かばない状態でなぜなぜ分析を始めると、最初の1問で止まります。
Q. 枝が出すぎて読めません。
似た枝を1つにまとめます。大骨ごとに10本までが目安です。まとめるときは消すのではなく、代表の1本に寄せます。
Q. どの枝から確かめますか。
今回の不具合と時期や条件が合っていて、すぐ見に行ける枝からです。会議のその場で印を付けて、担当と期限まで書きます。
Q. 確かめて違っていた枝は消しますか。
消しません。日付と結果を横に1行書いて残します。消すと、後から来た人が同じ枝をもう一度調べることになります。
Q. 1人で書いてもよいですか。
もれを減らすのが目的なので、1人だと目的が果たせません。現場・後工程・工程を決めた人の3者をそろえると、出てくる枝の数が変わります。
Q. 書いた図はどこに残しますか。
工程ごとにまとめて残します。次に似た不具合が出たときに、前の図の枝が出発点になります。確かめた結果が書き込まれていれば、さらに早く進みます。
Q. 特性はどう書けばよいですか。
数値と対象が入った1行にします。「不良が多い」ではなく「A品の内径が上限を0.03mm超える」まで絞ります。ここが絞れていれば、枝はほぼ自動で具体になります。
Q. 会議にどれくらい時間をかけますか。
枝出し30分、印付け10分で区切るのが目安です。長く話すほど良い図になるわけではありません。足りなければ2回に分けるほうが、次も開けます。
Q. 本に載っている例を写してもよいですか。
写すと枝は埋まりますが、自社の現場と関係のない図になります。自分の工程で確かめられる枝だけを書きます。確かめに行けない枝は、書いても動きません。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。