原因を掘る

パレート図とは?分類の切り方で、上位3件は変わる

公開 2026-09-01更新 2026-09-22 執筆 改善板 編集部

パレート図は、件数の多い順に棒を並べて、その累積を折れ線で重ねた図です。品質管理の道具としては最も古くからあり、Excelでも数分で作れます。作り方で困ることは、いまはほとんどありません。

困るのはその先です。同じデータでも、分類の切り方を変えると上位に来るものが入れ替わります。この記事では、パレート図を、分類の決め方・件数と金額の使い分け・層別してもう1枚作る手順までまとめます。

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この記事の内容(8項目)

パレート図は「どこから手を付けるか」を決める図

パレート図の目的は1つです。手を付ける順番を決めることです。原因を突き止める図ではありません。

全部の不具合に同じだけ手をかけると、どれも中途半端になります。件数の多いものから順に並べて、上のいくつかに絞る。これを重点指向と呼びます。

パレート図でやること
1. 分類を決める何で分けるか
2. 数える件数か金額か
3. 並べる多い順に棒
4. 絞る上位2〜3件に
1を決めずに集計すると、3で並べ替えても意味が読めない

累積80%は目安であって基準ではない

累積の折れ線が80%に届くところまでを重点にする、という説明をよく見ます。80%は目安です。上位1件で70%を占めることもあれば、6件まで並べてやっと80%ということもあります。

実務では、手を付けられる数までと考えるほうが役に立ちます。同時に3件動かせるチームなら3件、1件しか動かせないなら1件です。線の位置ではなく、自社の手の数で決めます。

パレート図は分類の切り方で形が変わる

ここがいちばん大事なところです。同じ1か月の不具合でも、何で分けるかによって、上位に来るものが入れ替わります。

分類の切り方上位に出てくるもの向いている場面
不具合の現象キズ、寸法外れ、混入どんな不具合が多いかを見る
発生した工程成形、組立、検査どこで起きているかを見る
製品・品番特定の品番に集中設計や材料の問題を疑う
顧客・出荷先特定の取引先に集中要求条件の認識違いを疑う

1つの切り方だけで結論を出すと、見落とします。現象で切って1枚、工程で切ってもう1枚を並べると、どこに手を付けるかが立体的に見えます。

「その他」が大きくなったら分類が粗い

棒の右端にある「その他」が全体の2割を超えたら、分類の作り方を見直します。その他の中に、本当の上位が隠れていることがあります。

逆に、分類を細かくしすぎると棒が横に伸びて、どれも小さくなります。目安は7〜10個に収まる粗さです。それ以上に増えるなら、大きく分けてから、上位の中をもう1枚で分けます。

件数で数えるか、金額で数えるか

パレート図の縦軸は件数にすることが多いのですが、件数だけで決めると判断を外すことがあります。

件数で並べる

起きている回数がそのまま出る
現場の手間に近い
1件が重い不具合が埋もれる。

金額で並べる

損失の大きさが出る
経営の判断に近い
小さい不具合の多発が埋もれる。

どちらか一方ではなく、両方で作って見比べるのが確実です。順番が入れ替わったところに、話し合うべきことがあります。

金額に換算するときの決めごと

金額に直すには、1件あたりいくらとするかを決めておきます。材料費だけにするか、作業時間も入れるか、輸送費や再検査も入れるか。決め方を1つに固定して、毎月同じ数え方をします。月ごとに数え方が変わると、推移が読めなくなります。

換算の考え方は、改善効果の金額換算と同じものを使うと、社内で数字がそろいます。対策の効果を金額で報告するときに、同じ物差しで前後を比べられます。

時間で数えるという手もある

金額まで出すのが難しい場合は、その不具合に何時間かかったかで並べる方法があります。手直しの時間、原因を調べた時間、顧客への説明にかかった時間。現場の実感に近い順番が出てきます。

時間は現場でも数えられるので、集計を続けやすいのが利点です。金額に直すのは、上位が決まってから1件だけやれば足ります。

上位が決まったら、そこを層別してもう1枚

パレート図の本当の使いどころは、2枚目です。上位1件を取り出して、その中をもう一度分けます。これを層別と呼びます。

2枚で絞り込む
1枚目現象で分ける
キズが最多
キズだけ取り出す他は置いておく
2枚目工程で分ける
搬送で7割
1枚で終わると「キズ対策」になり、対象が広すぎて手が付かない

1枚目で止めると、対策は「キズを減らす」になります。範囲が広すぎて、何をすればよいか決まりません。2枚目まで進めると「搬送中のキズ」まで絞れて、見に行く場所が決まります。

層別の切り口は4つ試す

切り口見えてくること
工程・設備特定の設備に集中していないか
時間帯・直夜勤帯だけ、立ち上げ直後だけ
材料のロット材料が変わった時期と重なっていないか
作業者・班手順の理解に差がないか

ここで何かが偏っていれば、そこが調べる場所です。偏りが出なければ、その切り口は原因ではないと分かります。これも収穫です。

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パレート図を毎月続けると、効果が見える

パレート図は1回作って終わりにしがちですが、毎月同じ切り方で作り続けると別の使い方ができます。

先月の上位1件に対策を打ったなら、今月の図でその棒が下がっているはずです。下がっていなければ、対策が効いていないか、まだ効く時期になっていないかのどちらかです。

対策を打った月と、効果が出る月はずれます。作り直した手順が現場に行き渡るまで、1か月から2か月かかることがあります。1か月で下がらないことを失敗と決めないようにします。

並べ方を途中で変えない

月ごとに分類の切り方を変えると、前の月と比べられません。分類の定義を1枚に書いて固定します。新しい現象が出てきたら追加しますが、既存の分類の中身は動かしません。

全体の件数も横に置く

上位の棒が下がっていても、全体の件数が減っていなければ、別の項目に移っただけかもしれません。パレート図と一緒に、月ごとの総件数の推移を並べておきます。

同じ工程を続けて見ていくなら、件数の集計とは別に管理図を1枚持っておくと、不良になる前の変化に気づけます。件数は結果、管理図は途中経過という関係です。

パレート図が向かない場面

パレート図は万能ではありません。次の3つの場面では、別の見方に切り替えたほうが早く着きます。

場面なぜ向かないか代わりに使うもの
件数が少ない(月に数件)順番が偶然で入れ替わる。母数が足りない1件ずつ現物を見る。数か月ためてから作る
重大だが1件だけの不具合棒が小さく、下位に埋もれる重大度で別枠にする。件数の図に混ぜない
原因を知りたいパレート図は場所を示すだけで、理由は出てこないなぜなぜ分析や特性要因図へ進む

重大なものは件数と別に扱う

流出して顧客に届いた不具合、安全にかかわる不具合は、1件でも最優先です。件数の図とは別の紙で管理します。パレート図に混ぜると、多発している軽微なものに埋もれます。

母数がそろっていないと比べられない

生産数が月によって大きく違う場合、件数だけを比べると誤読します。1000個あたり何件のように、母数でそろえた数にしてから並べます。

社内で回すための3つの決めごと

パレート図を続けるために決めておくことは、3つだけです。

  • 分類の定義|何で分けるか、それぞれの分類に何を入れるか。迷ったときの入れ先も決めておく
  • 数える単位|件数か金額か。金額なら何を足すか。母数でそろえるかどうか
  • 作る人と見る場|誰が毎月作り、どの会議で見るか。作っても見る場がないと続きません

この3つを1枚に書いて、集計表のそばに置いておきます。担当が代わっても同じ図が出てきます。

集計のもとを1か所にする

パレート図は集計の結果でしかありません。もとになる不具合の記録が複数の場所に散っていると、図を作るたびに集め直すことになります。記録は1か所に集めて、そこから機械的に数える形にしておくと、作る手間がほぼ消えます。

出た図は現場に貼る

会議の資料で終わらせず、現場に貼ります。自分たちの工程が上位に出ていると分かれば、次の月の見え方が変わります。貼るときは、上位3件だけを大きく書いた1枚にすると伝わります。

作った図に、決めたことを1行書き足す

図だけを貼ると、見た人は「多いんだな」で終わります。上位3件のそれぞれに、誰が何をいつまでにやるかを1行ずつ書き足します。図が、現状の報告から段取りの紙に変わります。

翌月の図には、前の月に決めたことの結果を並べます。やった、やっていない、やったが効かなかった。3つのどれかが必ず書いてある状態にしておくと、続けている意味が見えます。書くところが無ければ、図の下に3行分の余白を作っておきます。

よくある質問

Q. パレート図と棒グラフの違いは何ですか。
パレート図は、棒を多い順に並べ替えて、累積の折れ線を重ねたものです。並べ替えと累積線があるかどうかが違いです。並べ替えないと、どこから手を付けるかが読めません。
Q. 累積80%のところで区切らないといけませんか。
80%は目安です。自社が同時に手を付けられる数で決めるほうが実務に合います。上位1件で7割を占めることもあります。
Q. 「その他」が大きくなってしまいます。
分類が粗いか、分類に入れられない記録が多いかのどちらかです。その他が2割を超えたら分類を見直します。中に本当の上位が隠れていることがあります。
Q. 件数と金額、どちらで作りますか。
両方作って見比べるのが確実です。順番が入れ替わったところに、話し合うべきことがあります。金額に直すときは、何を足すかを固定します。
Q. 月に数件しか不具合がありません。
母数が足りないと順番が偶然で入れ替わります。数か月分をためてから作るか、1件ずつ現物を見るほうが確実です。
Q. 対策を打ったのに棒が下がりません。
効果が出るまで1か月から2か月かかることがあります。それでも下がらない場合は、対策が実際には行われていないか、絞り込みが足りていない可能性があります。層別してもう1枚作ります。
Q. 分類を途中で変えてもよいですか。
新しい現象を追加するのは構いませんが、既存の分類の中身は動かしません。動かすと前の月と比べられなくなります。
Q. パレート図で原因は分かりますか。
分かりません。手を付ける場所を示す図です。原因は、絞り込んだあとに現物を見たり、なぜなぜ分析や特性要因図で掘ったりして出します。
Q. 何か月分のデータで作りますか。
1か月で十分な件数が出るならその月だけで作れます。件数が少ない場合は3か月分をまとめます。期間を決めたら毎回同じ期間にして、前と比べられる形にします。
Q. 集計はExcelで足りますか。
足ります。並べ替えと累積の列を足せば作れます。手間がかかるのは集計ではなくもとの記録を集めるところなので、記録の置き場所を1か所にするほうが効きます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。