見直しと報告

管理図とは?規格の合否と、工程の異常を分けて見る

公開 2026-09-07更新 2026-09-22 執筆 改善板 編集部

管理図は、測った値を時間の順に打っていき、上下に引いた線からはみ出していないかを見る図です。工場の壁に貼ってあるのをよく見かけます。

ところが、使われ方でいちばん多い誤解がここにあります。管理図の上下の線は、規格の線ではありません。規格に全部入っていても、管理図では異常になることがあります。この記事では、その違いから、異常が出たあとの動き方までまとめます。

品質目標 進捗表(Excel・無料)期の初めに決めた品質の目標に対して、いまどこまで来たかを見ます。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る
この記事の内容(8項目)

管理図は「工程が変わったか」を見る図

管理図の役目は、合否の判定ではありません。工程がいつもと同じ状態で動いているかを見ることです。

どんな工程にも、避けられないばらつきがあります。材料のわずかな差、室温、測る人の癖。これが普段のばらつきです。管理図の上下の線は、この普段のばらつきから計算して引きます。

規格線

図面や顧客が決めた合否の線
外れたら不良
製品1個ごとの判定。

管理限界線

工程のばらつきから計算した線
外れたら何かが変わった合図
工程の状態の判定。

だから、全部の点が規格の中に入っていても、管理図では異常になります。これは矛盾ではありません。今のところ不良は出ていないが、工程に何かが起きている、という意味です。

規格線を管理図に書き込まない

同じ図に2種類の線を引くと、読む人が混乱します。規格線は書かないか、書くなら色と線種をはっきり分けます。「線を超えた」という会話が、どちらの線の話なのか分からなくなるのを防ぎます。

管理図の種類は、測るものの性質で決まる

種類がいくつもありますが、選び方は単純です。測って数字が出るものか、数えるものかで大きく2つに分かれます。

測るもの使う管理図
寸法や重さなど、数字で測るもの平均値と範囲の管理図内径、板厚、充填量
不適合品の個数不適合品率の管理図ロットごとの不良品の数
1つの中の欠点の数欠点数の管理図1枚のキズの数

迷ったら、数字で測れるものは数字のまま使います。合否に直してから数えると、情報が落ちます。「規格内だった」より「上限に近づいている」のほうが、早く気づけます。

平均と範囲を2段で見る

数字で測る場合は、何個かをまとめて1組にして、その平均ばらつきの幅の2つを上下に並べて打ちます。

平均だけを見ていると、ばらつきが広がっていることに気づけません。逆にばらつきだけを見ていると、全体がずれていることに気づけません。2段そろって初めて読めます。

1組を何個にするか

4個か5個で1組にするのが一般的です。同じ条件で連続して取れた分を1組にします。朝と夕方の値を混ぜて1組にすると、ばらつきの中に時間の差が入り込んで、線が広がります。

異常の合図は、線を超えることだけではない

管理図で異常と判定するのは、点が上下の線を超えたときだけではありません。線の中にあっても、並び方に癖があれば異常です。

並び方読み方
線を超えたその時点で何かが起きた
中心線の片側に続けて並ぶ工程の中心がずれた
続けて上がる、続けて下がる摩耗や温度の変化など、進んでいくもの
上下に規則正しく揺れる交互に使う設備や、直の違い
並び方の癖は、不良が出る前に出る合図です。線を超えるのを待っていると、超えたときにはすでに不良が出ています。片側に7点続いたら見に行く、といった自社の目安を決めておきます。

点が線の中に収まりすぎるのも変

すべての点が中心の近くに寄りすぎている場合、線の計算がおかしいか、測り方が変わっている可能性があります。丸めすぎている、同じ人が続けて測って値を合わせている、といったことが起きています。

合図が出たら、その場で1行書く

異常の合図が出たときに何が起きていたかは、その日のうちにしか分かりません。図の下に、材料のロット、作業者、設備の調整、気温を1行書きます。後から原因を探すときの材料になります。

異常と判定したあとの動き

管理図は、貼ってあるだけでは何も生みません。合図が出たときに何をするかを、先に決めておきます。

合図が出たときの4段
1. 止めるか続けるか規格を外れているか
2. 何が変わったか直近の変更を洗う
3. 手を打つ調整か、調査か
4. 図に書き戻すやったことを記録
1を現場で判断できるように、規格の側の線も手元に置いておく

2の「何が変わったか」は、変更点管理の記録と突き合わせると早く進みます。材料のロットが切り替わった日、設備を調整した日。管理図の合図と日付が合えば、そこが出発点になります。

調整しすぎない

点が中心から少し外れるたびに設備を調整すると、かえってばらつきが大きくなります。普段のばらつきの範囲なら、触らない。これが管理図を使う理由の1つです。触るのは、合図が出たときだけにします。

線は作り直す時期を決める

工程を改善してばらつきが小さくなったら、古い線のままでは異常を捉えられません。設備や条件を大きく変えたとき、半年に1回など、線を引き直す時期を決めておきます。引き直したら、いつ引き直したかを図に書きます。

改善効果確認表(Excel・無料)対策後の件数や時間を、実施前と比較するときだけ使う確認表です。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

管理図を続けるための現実的な形

全部の工程・全部の寸法で管理図を作ると、貼る場所も測る時間も足りません。絞ります。

  • 不具合が出ている工程|いま困っているところから始める
  • 顧客に届く特性|外れたときの影響が大きいもの
  • 調整が多い工程|触りすぎているかどうかが分かる
  • 改善の効果を見たい工程|前後で線が変われば効果の証拠になる

目安として、1つの職場で3枚から5枚あれば十分に働きます。20枚あっても誰も見ません。

打つのは現場の人がやる

測ったその場で点を打つと、異常に気づくのがいちばん早くなります。事務所でまとめて入力する形にすると、気づくのが翌日以降になります。手書きで構いません。

見る場を決める

朝礼で30秒、前日の図を見る。これだけで、貼りっぱなしにはなりません。見る人が決まっていない図は、必ず止まります。

管理図が向かない場面

次の3つの場面では、管理図を作っても読めません。

場面なぜ向かないか代わりに使うもの
少量多品種で、同じものを続けて作らない並べて比べる前提が崩れる品種ごとの初物検査と記録
測るのに時間や費用がかかる点が少なすぎて並びが読めない全数の合否記録と、条件の記録
工程がまだ安定していない線を計算する土台が無いまず条件を固めてから作る

立ち上げ直後は、まず条件を固める

新しいラインで管理図を作ろうとしても、ばらつきが大きすぎて線が広がるだけです。条件を決めて、安定して作れるようになってから線を計算します。それまでは、条件と結果を並べた記録で足ります。

点が少ないときは、そのまま並べる

1日1点しか取れないような工程では、平均も範囲も出せません。測った値をそのまま時間順に並べた折れ線にして、傾向だけを見ます。線を引かなくても、上がり続けていることは読めます。

社内で回すための3つの決めごと

管理図を続けるために決めることは、3つです。

  • 異常の目安|線を超えたとき以外に、片側に何点続いたら見に行くか。自社の数を決める
  • 合図が出たときの動き|誰に知らせ、何を確かめ、どこに書き戻すか
  • 線を引き直す時期|設備や条件を変えたとき、半年に1回など。引き直した日を図に書く

この3つを図の余白に印刷しておくと、担当が代わっても同じ運用になります。

規格線と管理限界線の呼び分けを社内でそろえる

「限界を超えた」という言葉が、どちらの線の話か分からないと、対応の重さが変わります。規格外と、工程の異常。この2つの言葉を使い分けると決めておきます。

図と一緒に、その日の条件を残す

点だけが並んでいる図は、後から読めません。材料のロット、作業者、設備の調整、気温。図の下に欄を作っておくと、異常が出たときに突き合わせられます。書くのは異常が出た日だけでも構いません。

よくある質問

Q. 管理限界線と規格線は何が違いますか。
規格線は図面や顧客が決めた合否の線で、製品1個ごとの判定に使います。管理限界線は工程のばらつきから計算した線で、工程の状態を見るためのものです。別のものなので、混ぜません。
Q. 全部規格内なのに管理図が異常になりました。
矛盾ではありません。不良はまだ出ていないが、工程に何かが起きているという意味です。むしろ、不良が出る前に気づけた状態です。
Q. どの種類の管理図を使えばよいですか。
寸法や重さのように数字で測れるものは平均値と範囲の管理図、不適合品の数を数えるものは不適合品率の管理図です。迷ったら、数字で測れるものは数字のまま使います。
Q. 1組は何個にしますか。
4個か5個が一般的です。同じ条件で連続して取れた分を1組にします。朝と夕方を混ぜると、ばらつきの中に時間の差が入ってしまいます。
Q. 線を超えていなければ安心ですか。
並び方も見ます。中心線の片側に続けて並ぶ、続けて上がる、規則正しく揺れる。どれも工程が変わった合図です。線を超える前に出ます。
Q. 点がぶれるたびに設備を調整してよいですか。
調整しすぎると、かえってばらつきが大きくなります。普段のばらつきの範囲なら触らないのが管理図を使う理由の1つです。
Q. 線はいつ引き直しますか。
設備や条件を大きく変えたとき、半年に1回など、時期を決めておきます。引き直した日を図に書いておくと、前後の比較ができます。
Q. 何枚くらい作ればよいですか。
1つの職場で3枚から5枚で十分に働きます。20枚あっても誰も見ません。不具合が出ている工程と、顧客に届く特性から始めます。
Q. 少量多品種でも使えますか。
同じものを続けて作らない場合は、並べて比べる前提が崩れます。品種ごとの初物検査と条件の記録のほうが実務に合います。
Q. 点だけが並んだ図では読めません。
図の下に、材料のロット、作業者、設備の調整、気温を書く欄を作ります。異常が出た日だけ書くのでも構いません。突き合わせの材料になります。
Q. 点を打つのは誰がやりますか。
測ったその場で現場の人が打ちます。事務所でまとめて入力すると、気づくのが翌日以降になります。手書きで構いません。
Q. 見る場はどう作りますか。
朝礼で30秒、前日の図を見るだけで足ります。見る人が決まっていない図は、必ず止まります。
Q. 規格外と工程の異常を、社内でどう呼び分けますか。
言葉を2つに分けて決めておきます。「規格外」と「工程の異常」。どちらの線の話か分からないと、対応の重さが変わってしまいます。
Q. 全部の工程で作る必要がありますか。
ありません。1つの職場で3枚から5枚で十分に働きます。不具合が出ている工程と、顧客に届く特性から始めます。
Q. 点が少ない工程ではどうしますか。
1日1点しか取れないなら、平均も範囲も出せません。測った値をそのまま時間順に並べた折れ線にして、傾向だけを見ます。
Q. 改善の効果を管理図で示せますか。
示せます。改善の前後で線を引き直すと、ばらつきが小さくなったことが目に見えます。引き直した日を図に書いておくと、前後を比べられます。
品質目標 進捗表(Excel・無料)期の初めに決めた品質の目標に対して、いまどこまで来たかを見ます。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

この記事で使う無料テンプレート

本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。