是正処置の有効性確認|いつ・何を見て効いたと判断するか
是正処置は、対策を打った時点では終わっていません。効いたかどうかを確かめて、はじめて閉じられます。ただ、この確認は「そういえば最近出ていないですね」で済まされることが多く、何を見て効いたと判断したのかが記録に残らない状態になりがちです。
一般には、是正処置の有効性確認は時期・指標・判定基準の3つを先に決めてから行います。この記事では、是正処置の有効性確認について、いつ見るか、何を見るか、どうなったら効いたと判定するかを整理します。
この記事の内容(8項目)
- 是正処置の有効性確認は、実施の確認とは別
- 3つ目に「定着しているか」がある
- 是正処置の有効性確認はいつ行うか
- 2段階で見るのが扱いやすい
- 予定日は、対策を決めた日に置く
- 何を見て「効いた」と判定するか
- 件数が少ない不具合の見方
- 「効いた」と言えない状態も記録する
- 効いていなかったときに、どこへ戻るか
- いちばん多いのは2番目
- 3番目のときは、前回の分析を読み直す
- 案件を横並びにして見る
- 月に1回、予定日が来た行だけ読む
- 「有効」で閉じた案件も、集計には残す
- 確認の場を、どこに作るか
- 全件を読む場は作らない
- 再発した案件だけを別に数える
- 有効性確認でつまずきやすい3つ
- その1:判定基準が「感覚」のまま
- その2:確認する人が対策を打った本人だけ
- その3:確認の記録が報告書の余白に書かれる
- よくある質問
是正処置の有効性確認は、実施の確認とは別
まず分けたいのは、やったかどうかと効いたかどうかです。この2つを1つの欄で扱うと、実施の確認だけで閉じることになります。
実施の確認
決めた対策が入っているか。治具ができたか、手順書が改訂されたか、教育をしたか。
対策の直後に見る。
必要条件だが、これだけでは足りない。
有効性の確認
同じ原因での再発が止まったか。件数、不良率、検出の場所。
一定の期間をおいてから見る。
ここまで見て、案件を閉じられる。
実施だけを確認して閉じると、入れた対策が効いていない案件が「完了」として積み上がります。数か月後に同じ不具合が出たとき、記録上は対策済みなので、原因分析が振り出しに戻ります。
3つ目に「定着しているか」がある
実施と有効性の間に、もう1つ見る視点があります。時間が経っても対策が守られているかです。治具を作ったが使われていない、追加した検査が省かれている、という状態は、有効性の確認の前に潰しておく必要があります。定着の見方は対策の定着で扱っています。
是正処置の有効性確認はいつ行うか
確認の時期は、不具合の出方によって変わります。一般には、次の3つのやり方が使われています。
| やり方 | いつ見るか | 向いている案件 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| ロット基準 | 対策後の3ロット/5ロット | 同じ品を繰り返し作っている | 生産の間隔が空くと、いつまでも判定できない |
| 期間基準 | 1か月後/3か月後 | 生産が連続している | その期間に生産が無いと意味が無い |
| 事象待ち | 同じ条件が再来したとき | 季節要因・年1回の作業 | 判定まで1年かかる |
2段階で見るのが扱いやすい
1回だけの確認では、たまたま出なかったのか、効いたのかが分かりません。短期(1か月)と中期(3か月)の2回に分けると、判断の根拠が増えます。1回目で効いていなければ、3か月待たずに手を打てます。
予定日は、対策を決めた日に置く
確認の日付は、対策が終わってから決めようとすると入りません。対策を決めた会議の場で、確認の予定日まで決めてしまいます。案件の一覧に予定日の列があれば、その日が来た行が自然に表に出ます。
何を見て「効いた」と判定するか
指標は、その不具合の出方に合わせて選びます。件数が使えないときに何を見るかを決めておくと、判定が止まりません。
| 見る指標 | 判定の例 | 使える条件 |
|---|---|---|
| 同じ現象の発生件数 | 3ロット連続でゼロ | もともと月に数件以上出ている |
| 不良率 | 対策前の半分以下 | 母数が十分にある |
| 検出した工程 | 客先流出がゼロ、工程内での検出のみ | 流出対策を打った案件 |
| 対策の実施率 | 抜き取り10回で全部守られていた | 件数が少なく、発生で判定できない |
| 関連する苦情の件数 | 同じ分類の苦情がゼロ | 客先起点の案件 |
件数が少ない不具合の見方
年に2、3件の不具合では、1か月出なくても当たり前です。この場合は、発生ではなく対策が守られているかどうかで判定します。治具が使われている、追加した検査の記録が残っている、といった実施の状態を、抜き取りで確かめる形です。
「効いた」と言えない状態も記録する
生産が無かった、条件が揃わなかった、といった理由で判定できないことがあります。そのときは「判定保留、次回◯月に再確認」と書きます。判定できないことと、効かなかったことは別です。混ぜると、あとで読めなくなります。
効いていなかったときに、どこへ戻るか
再発していた場合、戻る場所は3つのどれかです。どこへ戻るかで、やり直す範囲が変わります。
| 状態 | 戻る場所 | やること |
|---|---|---|
| 対策が入っていなかった | 実施の段階 | なぜ実施されなかったかを記録し、期限を切り直す |
| 入っていたが守られていなかった | 標準化・定着の段階 | 作業として無理が無いかを見る。手順そのものを見直す |
| 守られていたのに再発した | 原因分析の段階 | 原因の特定が違っていた。掘り直す |
いちばん多いのは2番目
対策は入っていたのに守られていなかった、というのがいちばん多い形です。この場合、守らなかった人を責めても戻りません。手順が増えて時間内に終わらない、治具が取りに行きにくい場所にある、といった実務上の理由があることが大半です。作業として成り立つかを見にいきます。
3番目のときは、前回の分析を読み直す
守られていたのに再発したなら、原因の特定が違っていたことになります。ここで一から掘り直すより、前回の分析シートを読み直して、どこで判断を間違えたかを見るほうが速く着きます。前回否定した候補が残っていれば、そこから再開できます。詳しくは対策後に再発したときで扱っています。
案件を横並びにして見る
是正処置の有効性確認は、案件ごとの報告書だけを持っていると回りません。確認の予定日が来たことに誰も気づけないためです。
| 持たせる列 | 何に使うか |
|---|---|
| 管理番号・件名 | 元の報告書とつなぐ |
| 対策の完了日 | ここから確認までの期間を数える |
| 確認の予定日 | この日が来た行を拾う |
| 見る指標と判定基準 | 確認する人が迷わない |
| 確認日・確認者 | 誰がいつ見たか |
| 判定(有効/保留/再発) | 再発の行だけ抜き出せる |
月に1回、予定日が来た行だけ読む
全件を毎月読む必要はありません。予定日が過ぎていて、判定が空欄の行だけを見れば足ります。件数が多い現場でも、この読み方なら10分程度で回ります。
「有効」で閉じた案件も、集計には残す
閉じた案件を一覧から消すと、あとで「この工程では過去にどんな対策を打ったか」を追えなくなります。閉じても行は残して、状態で絞れる形にしておくと、水平展開や類似不具合の検索でそのまま使えます。
月次の集計につなげる方法は月次の不具合集計、年度単位でまとめる形は改善実績の報告で扱っています。
確認の場を、どこに作るか
有効性の確認は、専用の会議を作らなくても回ります。すでにある場に10分だけ載せるほうが続きます。
| 載せる場 | 見るもの | かかる時間 |
|---|---|---|
| 月次の品質会議 | 予定日が過ぎて判定が空欄の行 | 10分 |
| 週次の朝会 | 今週が予定日の案件だけ | 3分 |
| 内部監査 | 判定が「有効」で閉じた案件の根拠 | 監査の中で |
| 年度の振り返り | 再発した案件の一覧と、その共通点 | 年1回 |
全件を読む場は作らない
案件が増えると、全件を読む会議は必ず形骸化します。予定日が来た行と、再発の行だけに絞ると、件数が増えても時間が伸びません。読まなかった行は、次の予定日に自然に出てきます。
再発した案件だけを別に数える
年に1回、再発として戻った案件を数えておくと、是正処置そのものの質が見えます。件数より、戻った理由の内訳のほうが役に立ちます。実施されていなかったのか、守られなかったのか、原因が違ったのか。この3つの比率で、次に手を入れる場所が決まります。
有効性確認でつまずきやすい3つ
その1:判定基準が「感覚」のまま
「だいぶ減った」「落ち着いた」で判定すると、人が替わったときに基準も変わります。対策を決めた時点で、数字の基準まで書いておくと、確認する人が誰でも同じ判定になります。
その2:確認する人が対策を打った本人だけ
自分で打った対策を自分で判定すると、どうしても甘くなります。確認者を1人加えるだけで、精度が変わります。同じ部署の別の人でも、監査の担当でもかまいません。
その3:確認の記録が報告書の余白に書かれる
「◯月◯日 再発なし」と報告書の隅に手書きされている状態です。その報告書を開かないと分からないので、全体としてどれだけ効いているかが見えません。一覧に転記するだけで、月次の報告や監査での説明に使えるようになります。
用語の使い分けは是正処置とは、標準に落とすところまでの流れは再発防止の進め方にまとめています。
よくある質問
- Q. 是正処置の有効性確認はいつ行えばよいですか?
- 一律の決まりはありません。対策後3ロット、1か月後、3か月後といった置き方が一般的です。1回だけだとたまたま出なかったのか効いたのか分からないので、短期と中期の2回に分けると判断の根拠が増えます。
- Q. もともと件数の少ない不具合はどう判定しますか?
- 発生件数では判定できないので、対策が守られているかどうかで見ます。治具が使われているか、追加した検査の記録が残っているかを抜き取りで確かめ、実施の状態で判定する形です。
- Q. 有効性の確認は誰が行うべきですか?
- 対策を打った本人だけで判定すると甘くなりがちです。同じ部署の別の人でも、内部監査の担当でもよいので、確認者をもう1人加えると精度が上がります。
- Q. 判定できる材料が揃わないときはどうしますか?
- 「判定保留、次回◯月に再確認」と記録して、予定日を置き直してください。判定できないことと、効かなかったことは別です。同じ欄に書くと、あとで読み返せなくなります。
- Q. 有効性の確認が終わった案件は、記録から消してよいですか?
- 消さないでください。閉じた案件を一覧から消すと、あとで「この工程では過去にどんな対策を打ったか」を追えなくなります。行は残したまま、状態で絞れる形にしておくと、水平展開や類似不具合を探すときにそのまま使えます。
- Q. 効果が出ていなかったら、また一から分析し直しですか?
- 戻る場所によります。対策が入っていなかったなら実施の段階、入っていたが守られていなかったなら標準化と定着の段階、守られていたのに再発したなら原因分析の段階です。3つ目のときも、前回の分析シートを読み直すところから始めると速く着きます。
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