効果と展開

改善前後の写真の残し方|比べられる撮り方と台帳の7項目

公開 2026-08-30更新 2026-10-03 執筆 改善板 編集部
改善板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

改善した場所の写真は、説明の道具としていちばん強いものです。文章で3行かかることが、2枚並べるだけで伝わります。

ただ、あとで比べようとすると「前」の写真が無い、あっても角度が違って比べられない、ということがよくあります。この記事では、改善前後の写真の残し方を、撮る位置の固定、撮るタイミング、台帳への残し方の順にまとめます。人が写るときの個人情報の扱いも、個人情報保護委員会のガイドラインにそって整理しました。

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この記事の内容(11項目)

改善前後の写真は、同じ位置で撮る

比べられる写真になるかどうかは、撮る位置がそろっているかだけで決まります。

比べられない写真

前は正面から、後は斜めから。
前は近く、後は遠く。
前は昼、後は夜。
何が変わったのか分からない。

比べられる写真

同じ位置、同じ高さ、同じ画角。
同じ明るさ。
周りの目印が両方に写っている。
差が一目で分かる。

位置を決めるコツ

床に印を付けるのがいちばん確実ですが、そこまでしなくても周りの構造物が写り込む画角にしておけば、あとから同じ位置に立てます。柱、棚の端、通路の線などが目印になります。

撮った位置を記録する

「棚Aの正面、通路側から、高さ150cm」と1行書いておくと、数か月後でも同じ位置に立てます。撮影者が替わっても同じ写真が撮れます。

広い写真と寄りの写真を両方撮る

寄りの写真だけだと、どこの場所か分かりません。全体が分かる写真と、変わった部分の寄りを1組にすると、あとから見て場所が特定できます。

「前」を撮り忘れないために

いちばん多い失敗は、改善したあとで「前の写真を撮っておけばよかった」となることです。改善は思い立った日に始まるので、撮る機会は一瞬しかありません。

撮るタイミング撮るもの
改善の案が出た日いまの状態。まだ何も変えていないところ
作業を始める直前手を付ける直前の状態
作業中途中経過。どう変えたかの説明に使える
完了した日変わった状態。前と同じ位置から
1か月後・3か月後維持できているか

提案の時点で撮ってもらう

改善提案を出すときに、困っている場所の写真を1枚添えてもらうと、それが自動的に「前」の写真になります。文章が苦手な人でも写真は撮れるので、提案の出しやすさも上がります。提案制度の回し方は改善提案制度の回し方で扱っています。

迷ったら撮る

写真を撮るコストはほぼゼロです。使うかどうかは後で決めればよいので、変えるかもしれない場所は先に撮っておきます。撮らなかった写真は、二度と撮れません。

3か月後の写真がいちばん役に立つ

完了直後はきれいでも、数か月後に元に戻っていることがあります。時間をおいた写真があると、定着しているかどうかが分かります。定着の見方は対策の定着にまとめました。

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写真に添える情報

写真だけがフォルダにたまると、何の写真か分からなくなります。台帳に1行書くだけで、あとから使えます。

項目書く内容
管理番号提案や案件とつなぐ
場所工程名、設備名、棚の番号など
撮影日・撮影者いつ、誰が
撮影位置どこから、どの高さで
区分前/作業中/後/経過
何を変えたか1行で。写真では分からない意図
ファイル名管理番号を入れておくと引ける

ファイル名に管理番号を入れる

カメラが付ける連番のままだと、あとから探せません。「K-014_前_棚A.jpg」のように、番号と区分を入れるだけで引けるようになります。

「何を変えたか」を1行書く

写真を見ても、意図までは分かりません。「工具を掛ける位置を作業台の手元に移した」と1行あると、他の工程でも同じことができないかを考えられます。

撮影位置を書くのを忘れない

「後」の写真を撮るときに、「前」の撮影位置が分からないと、同じ角度で撮れません。撮影位置は、撮ったその場で書くのが確実です。

写真の使い道

撮った写真は、複数の場面で使えます。1度撮れば、何度も使えるのが写真の利点です。

使い道使い方
提案の掲示採用された提案を前後で掲示する。他の人が形を真似る
年度の報告改善実績の報告に載せる。文章より伝わる
教育の資料新しく入る人に、なぜこの形なのかを説明する
水平展開の説明他工程に「こういう形にしませんか」と示す
定着の確認いまの状態と見比べる

掲示がいちばん効く

前後の写真を並べて掲示すると、説明しなくても改善の中身が伝わります。提案した人の名前を添えると、次の提案が出やすくなります。

水平展開の説明に使う

他の部署に「同じようにしませんか」と伝えるとき、写真があると話が早く進みます。言葉だけで説明するより、ずっと短い時間で伝わります。展開の進め方は水平展開の進め方で扱っています。

教育で「なぜこの形か」を伝える

いまの形しか知らない人には、なぜそうなっているかが分かりません。前の状態を見せると、元に戻すことの意味が伝わります。これも定着に効きます。

撮るときの注意

職場での撮影には、写ってはいけないものがあります。撮る前に確認する項目を決めておきます。

写り込みに注意するもの対応
人の顔写らない角度にする。写ったら本人に確認する(顔で本人が分かる写真は個人情報にあたる)
客先の図面・仕様書裏返すか、その場から外す
他社の製品・部品写り込まない画角にする
個人の持ち物片付けてから撮る
取引先名が分かる表示外部に出す写真では加工する

外部に出す写真は、もう一度確認する

社内での掲示と、客先や外部への提出では、確認の基準が変わります。外に出すときは、撮った人以外がもう一度見るという運用にすると、見落としが減ります。

人が写るときは目的を伝える

作業の様子を撮る必要がある場合は、何に使うかを本人に伝えてから撮ります。あとから「勝手に撮られた」という話になると、次から撮れなくなります。

撮影が禁止されている場所もある

客先の工場や、機密のある工程では撮影が禁止されていることがあります。訪問先で撮るときは、事前に確認します。禁止されている場合は、スケッチと寸法のメモで代替します。

保管のしかた

写真は増え続けます。探せない写真は、無いのと同じです。

やること理由
年ごとのフォルダに分ける件数が増えても、期間で絞れる
ファイル名に管理番号を入れる台帳から引ける
台帳に保管場所を書くフォルダが変わっても追える
解像度を落として保存する容量が減り、共有しやすくなる
共有の場所に置く個人のパソコンだと、異動で消える

個人の端末に置かない

撮影した人のスマートフォンやパソコンにだけある写真は、その人が異動した時点で失われます。撮ったらその日のうちに共有の場所へ移す、という決め方にします。

解像度は落としてよい

掲示や報告に使う写真は、高解像度である必要がありません。横1200px程度に落とすと、容量が大きく減り、共有も速くなります。細かい傷を見せる写真だけ、元のまま残します。

台帳から引ける状態にする

フォルダの整理より、台帳にファイル名か保管場所が書いてあることのほうが大事です。台帳を見れば場所が分かるなら、フォルダの構造は多少乱れていても探せます。

改善前後の写真でつまずきやすい3つ

その1:前の写真が無い

いちばん多い失敗です。改善の案が出た時点で撮るという習慣にすると防げます。提案用紙に写真を添えてもらう形にしておくと、自動的に残ります。

その2:角度が違って比べられない

「前」と「後」で立ち位置が違うと、何が変わったのか分かりません。撮影位置を1行書いておくだけで、同じ位置から撮れます。周りの構造物が写る画角にしておくのも有効です。

その3:撮ったが台帳に登録されない

撮影と登録が別の作業になっていると、撮っただけで終わります。撮った日のうちに1行書くと決めておくのが確実です。あとでまとめて登録しようとすると、どの写真がどこの場所だったか分からなくなります。撮影位置は、とくに記憶から消えやすい情報です。

その4:撮ったが使われない

フォルダにたまるだけで、掲示にも報告にも使われていない状態です。掲示する場所を決めておくと、撮る意味が生まれます。月に1回、その月の改善を1枚貼るだけでも続きます。

写真は改善の証拠になる 改善実績の報告や、客先への説明で、写真は文章より強く働きます。年度末にまとめて探すと時間がかかるので、案件ごとに台帳へ紐づけておくと、そのまま報告に使えます。まとめ方は改善実績の報告で扱っています。
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改善前後の写真にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

改善前後の写真そのものを決める法令はありませんが、写真に人が写る場合は個人情報保護法のルールがかかります。2023年から2026年までの、カメラ画像と個人情報にかかわる動きを日付順に並べます。

時期動き改善前後の写真への関係
2023年個人情報保護委員会が「犯罪予防や安全管理のための顔識別機能付カメラシステムの利用について」で掲示例などを公表し、カメラに関するQ&Aを更新カメラで本人が分かる画像を撮るときは、利用目的を特定し、その範囲で使うという考え方が示された
2026年6月個人情報保護法ガイドライン(通則編)が一部改正された「防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報」が個人情報の例として引き続き挙げられている
2026年7月17日個人情報保護法の改正法が公布された。顔特徴データ等の扱いの周知の義務化などを含み、原則として公布から2年以内に施行規律の対象は顔を照合するための特徴データで、単なる顔写真ではないとされている。改善前後の写真をそのまま撮って残す使い方は、これまでのルールで扱う

ポイントは、写真に人が写るかどうかで、扱いが変わることです。人が写らない画角で撮る、写ったら利用目的を伝える、という記事の中の運用は、この流れとも合っています。

出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)、カメラに関するQ&A(個人情報保護委員会)、令和8年 改正個人情報保護法について(個人情報保護委員会)。確認日は2026年10月3日です。個別の判断に迷うときは、個人情報保護委員会の「個人情報保護法相談ダイヤル」で確認できます。

改善前後の写真に出てくる用語

改善前後の写真を台帳で管理すると、個人情報の言葉と改善活動の言葉が混ざります。よく出てくる言葉を、出典と一緒に整理します。

用語意味出典
個人情報生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの。本人が判別できる映像も含まれる個人情報保護法2条1項、通則編ガイドライン2-1
個人データ検索できるように整理した個人情報(個人情報データベース等)を構成する個人情報個人情報保護法16条3項
利用目的個人情報を何に使うか。できる限り特定し、本人に通知か公表をする個人情報保護法17条・21条
顔特徴データ顔の部位の位置や形から、本人を識別できるように変換した符号。単なる顔写真とは別個人情報保護法施行令1条1号ロ・施行規則2条、令和8年改正法の概要
改善前後の写真同じ場所を、改善の前と後で同じ位置から撮った写真の組法令上の定義はない
水平展開ある工程の改善を、ほかの工程や拠点に広げること法令上の定義はない

改善前後の写真のほとんどは、設備や棚だけが写る写真です。この場合は個人情報にあたりません。人が写った写真だけを分けて扱うと、管理の手間が増えすぎずに済みます。

改善前後の写真と一緒に押さえておきたいこと

改善前後の写真を掲示や報告に使い始めると、撮る前には気にしていなかった点が出てきます。上位の記事ではあまり触れられていない点を3つ挙げます。

人が写る写真は、使い道を先に決めて伝える

改善前後の写真に従業員の顔が写り、本人が分かる場合は個人情報にあたります。個人情報は利用目的をできる限り特定し、本人に通知か公表をすることとされています(個人情報保護法17条・21条)。社内の掲示、改善の報告、教育資料など、写真を使う場面を社内の決まりに書いておき、撮るときに伝えると、あとで説明に困りません。

社外に出す写真は、顔が分からない形にしてから出す

客先への報告や会社のWebサイトに改善前後の写真を載せるときは、社内の掲示より慎重に扱います。台帳などで整理された個人データを第三者に渡す場合は、原則として本人の同意が要るとされています(個人情報保護法27条)。実務では、顔を写さない、写ったら顔が分からないように加工するのがいちばん手間がかかりません。

人が写った写真は、使い終わったら消す時期を決める

個人データは、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることとされています(個人情報保護法22条)。設備だけの写真は長く残してかまいませんが、人が写った写真は台帳に「人が写っている」印を付け、保存の期限を決めておくと、見直しが楽になります。

出典:個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索)、通則編ガイドライン(個人情報保護委員会)

改善板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. スマートフォンで撮ってもよいですか?
問題ありません。画質は十分です。大事なのはカメラの性能より、同じ位置から撮ること、その日のうちに共有の場所へ移すこと、台帳に1行書くことの3つです。
Q. 改善前の写真を撮り忘れました。どうすればよいですか?
似た状態の別の場所を撮る、同じ工程の他のラインを撮るという代替はありますが、正確な比較にはなりません。次からは、改善の案が出た時点で撮る習慣にしてください。提案用紙に写真を添えてもらう形にすると、自動的に残ります。
Q. 前後の写真を同じ位置から撮るコツはありますか?
床に印を付けるのがいちばん確実です。そこまでしなくても、柱や棚の端など周りの構造物が写り込む画角にしておけば、あとから同じ位置に立てます。撮影位置を「棚Aの正面、通路側から、高さ150cm」と1行書いておくとさらに確実です。
Q. 写真は何枚くらい撮ればよいですか?
全体が分かる写真と、変わった部分の寄りを1組にしてください。寄りだけだとどこの場所か分かりません。撮るコストはほぼゼロなので、迷ったら撮っておくほうが後悔しません。
Q. 完了後にもう一度撮る必要はありますか?
1か月後と3か月後に撮ると、定着しているかが分かります。完了直後はきれいでも、数か月後に元に戻っていることがあります。時間をおいた写真があると、その変化に気づけます。
Q. 写真に人が写ってもよいですか?
何に使うかを本人に伝えてから撮ってください。顔などで本人が分かる写真は個人情報にあたり、利用目的を特定して本人に通知か公表をすることとされています(個人情報保護法17条・21条)。可能なら、人が写らない角度にするほうが扱いが楽です。
Q. 写真はどこに保管すればよいですか?
共有の場所です。撮影した人の端末にだけある写真は、その人が異動した時点で失われます。撮ったらその日のうちに共有の場所へ移し、台帳にファイル名か保管場所を書いてください。
Q. 解像度は高いほうがよいですか?
掲示や報告に使う写真は、横1200px程度で十分です。容量が大きく減り、共有も速くなります。細かい傷を見せる写真だけ、元の解像度で残してください。
Q. 台帳には何を書けばよいですか?
管理番号、場所、撮影日と撮影者、撮影位置、区分(前・作業中・後・経過)、何を変えたか、ファイル名です。とくに撮影位置と「何を変えたか」は、写真だけでは分からない情報なので、その日のうちに書いてください。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点のものです。