マトリックス図とは?空欄を見つけるための表の組み方
マトリックス図は、2つの並びを縦と横に置いて、交わるところに印を付ける表です。新QC七つ道具の1つとして知られていて、Excelでも数分で作れます。
形が単純なぶん、作っただけで終わりやすい道具でもあります。マトリックス図がいちばん効くのは、印の付いたところではなく、印が付かなかった空欄を読むときです。この記事では、軸の選び方・記号の決め方・空欄の読み方までまとめます。
この記事の内容(8項目)
マトリックス図は「抜けを見つける」ための表
マトリックス図の役目は、2つの並びの対応を全部見えるようにすることです。全部の組み合わせが表に出るので、見落としが残りません。
頭の中や箇条書きで考えると、思いついた組み合わせだけを見ることになります。表にすると、考えていなかった組み合わせも枠として現れます。空いている枠が、そのまま抜けの候補になります。
よく使う2つの軸の組み合わせ
| 縦 | 横 | 何が見えるか |
|---|---|---|
| 不具合の種類 | 工程 | どの工程にどの不具合が集まるか |
| 対策 | 工程・製品 | 対策を打っていない工程はどこか |
| 要求事項 | 社内の手順 | 手順が無い要求はどれか |
| 設備 | 点検項目 | 点検されていない設備はどれか |
どれも、空欄のほうに意味がある組み合わせです。埋まっているところは「やっている」なので、見る必要がありません。
マトリックス図の形は、L型とT型を覚えれば足りる
形にはいくつか名前が付いていますが、実務で使うのはほぼ2つです。
L型
縦1本・横1本の普通の表2つの並びの対応を見る
ほとんどの場面はこれで足りる。
T型
1つの軸に、2つの軸をぶら下げる3つの並びを一度に見る
不具合を挟んで、工程と製品を見る形。
ほかにY型やX型もありますが、読める人が限られるので社内では使いにくくなります。3つ以上を見たいときは、L型を2枚に分けたほうが伝わります。
軸に並べる数は、片側15までに収める
縦横それぞれ15を超えると、紙に収まらず、画面でも追えなくなります。多いときは、大きく分けてから、その中をもう1枚にします。
分けるときは、上の階層をそのまま軸にすると迷いません。工程を大きく5つに分けた1枚と、その中の1工程を細かく分けた1枚。この2段構えが読みやすい形です。
表の向きは固定する
社内で何枚も作ると、縦横が入れ替わった表が混ざります。やること側を縦、場所側を横のように、向きを決めて全部そろえます。見る人が毎回読み方を切り替えずに済みます。
記号の意味を、作る前に決める
マトリックス図でいちばん多い失敗が、記号の意味があいまいなまま埋めることです。丸と三角が何を指すのか、人によって違う状態で表が完成します。
| 記号 | 意味の決め方の例 |
|---|---|
| 二重丸 | 強く関係がある/主に担当する |
| 丸 | 関係がある/一部を担当する |
| 三角 | 関係があるかもしれない/要確認 |
| 空欄 | 関係が無い、または見ていない |
記号は表の外に凡例として書く
表だけを配ると、受け取った人は記号の意味を推測します。凡例を表の下に必ず付けます。3行で足ります。
数字を入れる形もある
記号ではなく、件数や点数を入れる形もあります。件数を入れると、多いところが一目で分かります。点数を入れる場合は、点の付け方をどこかに書いておかないと後から読めなくなります。
空欄を読む。ここが本題
表が埋まったら、印の付いたところは飛ばして、空欄だけを順に見ます。1つずつ、次の3つのどれかに分けます。
- 関係が無い|その組み合わせは起こりえない。斜線を引いて確定させる
- 抜けている|本来やるべきなのに、やっていない。ここが見つけたかったもの
- まだ見ていない|判断していない。誰がいつ確かめるかを決める
この仕分けを、表の上でその場でやります。持ち帰ると、次に開いたときには何を見ていたか分からなくなります。
行と列の端も見る
1つの行がまるごと空いていたら、その項目は誰も担当していないことになります。1つの列がまるごと空いていたら、その工程には何も手が入っていません。端の空きは、単独の空欄より重い合図です。
埋まりすぎている行も見る
逆に、1つの行や列に印が集中していたら、そこに負荷が寄っています。特定の担当者や特定の工程に全部ぶら下がっている形は、その人が不在になった日に止まります。印の偏りも読む対象です。
対策の水平展開に使うと効く
マトリックス図がいちばん力を出すのは、対策を他へ広げるときです。縦に対策、横に工程や製品を置きます。
1つの不具合に打った対策が、他の工程にも当てはまるかどうかを、全部の枠で確かめます。頭の中で「あそこも同じかもしれない」と考えるより、もれが出ません。
| 枠の状態 | 読み方 | 次にやること |
|---|---|---|
| 丸 | 同じ対策を打った | 効果を確認する |
| 斜線 | 条件が違うので当てはまらない | 理由を1行書いて確定 |
| 空欄 | まだ見ていない | 担当と期限を決める |
ここでも、斜線と空欄を分けるのが効きます。「当てはまらないと判断した」ことを残しておかないと、次の人がまた同じ検討をします。
展開先が多いときは、優先順位も入れる
工程が20もあると、全部を同時には見られません。同じ不具合が起きたときの影響が大きい順に列を並べ替えると、左から順に片付ければよい形になります。
1枚を使い続ける
展開の表は、その都度作り直すのではなく1枚を使い続けます。埋まっていく様子がそのまま進み具合になります。会議のたびに新しい表を配ると、前回どこまで進んだかが分からなくなります。
マトリックス図が向かない場面
次の3つの場面では、マトリックス図を作っても判断が進みません。
| 場面 | なぜ向かないか | 代わりに使うもの |
|---|---|---|
| 原因を知りたい | 対応の有無しか出ない。理由は枠に入らない | 特性要因図で候補を広げる |
| 順番や日程を決めたい | 前後関係が表に出ない | アローダイアグラムや工程表 |
| 片側が3つしかない | 表にするまでもない。箇条書きで足りる | そのまま一覧で書く |
関係が3段階では表せないとき
丸と三角では表しきれない中身があるなら、枠に短い言葉を入れる形に変えます。記号にこだわると、情報が落ちます。枠が大きくなるので、軸の数を減らして作ります。
作ること自体が目的にならないように
きれいな表を作ることに時間をかけすぎると、空欄を読む時間が無くなります。手書きで十分です。清書は、判断が終わって残すと決めてからにします。
社内で回すための3つの決めごと
マトリックス図を続けるために決めることは、3つです。
- 記号の意味|二重丸・丸・三角・斜線・空欄が何を指すか。凡例を表の下に必ず付ける
- 表の向き|やること側を縦、場所側を横。社内で全部そろえる
- 空欄の扱い|関係が無い・抜けている・まだ見ていないの3つに仕分け、その場で担当と期限を書く
この3つが決まっていれば、誰が作っても同じように読める表になります。
1枚に日付と作った人を書く
表は何度も更新されます。いつの時点の表かが分からないと、古い表を見て判断してしまいます。表の隅に日付と作った人を書いておきます。
埋めた根拠を別の紙に置かない
なぜ丸なのか、なぜ斜線なのかの根拠は、同じ表の備考欄か、すぐ隣に置きます。別のファイルに分けると、まず読まれません。1行で足りるので、表の中に入れてしまうほうが続きます。
よくある質問
- Q. マトリックス図と普通の表は何が違いますか。
- 目的が違います。マトリックス図は全部の組み合わせを枠として出して、空欄を見つけるために作ります。一覧を見やすくするための表とは使い方が別です。
- Q. L型とT型はどう使い分けますか。
- 2つの並びを比べるならL型で足ります。1つを挟んで2方向を見たいときだけT型にします。3つ以上をまとめたいときは、L型を2枚に分けるほうが伝わります。
- Q. 記号は何種類まで使いますか。
- 3種類までが読みやすい形です。二重丸・丸・三角に、斜線と空欄を足して5つ。これ以上増やすと凡例を見ないと読めなくなります。
- Q. 空欄はどう扱いますか。
- 関係が無い・抜けている・まだ見ていないの3つに仕分けます。「関係が無い」には斜線を引いて確定させます。空欄のままだと、次の人がまた同じ検討をします。
- Q. 軸に並べる数はどれくらいまでですか。
- 片側15までが目安です。それ以上は紙にも画面にも収まりません。大きく分けた1枚と、その中を細かくした1枚の2段構えにします。
- Q. 対策の水平展開に使えますか。
- 使えます。縦に対策、横に工程や製品を置いて、全部の枠を確かめます。1枚を使い続けると、埋まっていく様子が進み具合になります。
- Q. 印が1つの列に集中しています。
- その工程や担当に負荷が寄っています。偏りも読む対象です。その人が不在になった日に止まる形になっていないかを確かめます。
- Q. Excelで作らないといけませんか。
- 手書きで十分です。清書に時間をかけるより、空欄を読む時間を取るほうが効きます。残すと決めてから清書します。
- Q. 作った表はどれくらい残しますか。
- 工程や製品ごとに1枚を使い続けます。作り直さず更新していく形にすると、前回どこまで進んだかが表そのものに残ります。日付と作った人を隅に書いておきます。
- Q. 表の向きは決めたほうがよいですか。
- 決めます。やること側を縦、場所側を横のようにそろえると、見る人が毎回読み方を切り替えずに済みます。
- Q. 埋めた根拠はどこに書きますか。
- 同じ表の備考欄か、すぐ隣に書きます。別のファイルに分けると、まず読まれません。1行で足りるので、表の中に入れてしまうほうが続きます。
- Q. 行がまるごと空いていました。
- その項目を誰も担当していないことになります。端の空きは、単独の空欄より重い合図です。列がまるごと空いていれば、その工程には何も手が入っていません。
- Q. 枠に記号ではなく言葉を入れてもよいですか。
- 構いません。記号にこだわると情報が落ちます。枠が大きくなるので、軸に並べる数を減らして作ります。
- Q. 清書はいつしますか。
- 判断が終わって、残すと決めてからです。作ることに時間をかけると、空欄を読む時間が無くなります。手書きで十分に機能します。
- Q. 日付は書きますか。
- 書きます。表は何度も更新されるので、いつの時点の表かが分からないと、古い表で判断してしまいます。作った人も隅に書いておきます。
- Q. 優先順位はどう入れますか。
- 列を並べ替えます。同じ不具合が起きたときの影響が大きい順に左から並べると、左から順に片付ければよい形になります。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。