クレームの回答期限|遅れる前に伝える段取り
クレームで信用を失うのは、不具合そのものより約束した回答が来ないときです。原因の調査に時間がかかるのは相手も分かっています。分からないのは、いつ返ってくるかです。
一般には、クレームの回答期限は受けたその場で決めて、期限だけを別の表で追う形で管理します。この記事では、クレームの回答期限の決め方、守り方、そして間に合わないと分かったときの伝え方をまとめます。受けた直後の記録はクレームの初動対応で扱っています。
この記事の内容(8項目)
- クレームの回答期限は、受けたその場で決める
- 短い期限を口にしない
- 3段階で返すと決めておく
- 期限だけを1か所に集める
- 残日数の小さい順に見る
- 社内の確認先の列が効く
- 受けた記録と分ける理由
- 間に合わないと分かったとき
- 期限が過ぎてからの連絡は、遅れの倍の重さになる
- 2回目の延長はしない
- 延長の連絡を「未」のまま残さない
- 社内で止まっている案件を見つける
- 社外への依頼は、こちらの期限から逆算する
- 承認の範囲を先に決めておく
- 回答の方法と記録
- 電話のあとにメールを送る
- 訪問で追加の約束をしたら、持ち帰って登録する
- 期限を守る仕組みにする
- 朝の3分で足りる
- 監査の指摘と同じ表で扱わない
- 閉じた案件も残す
- 回答期限の管理でつまずきやすい3つ
- その1:営業と品質で期限が違う
- その2:期限が営業日か暦日か決まっていない
- その3:担当者が休むと止まる
- その4:回答したのに完了にしていない
- よくある質問
クレームの回答期限は、受けたその場で決める
「調べて折り返します」だけで電話を切ると、相手はいつまで待てばよいか分かりません。期限を言わずに切った時点で、遅れの原因が半分できています。
期限を決めずに切る
「確認して連絡します」相手は翌日には電話をかけてくる。
こちらはまだ調べている。
催促されるたびに信用が減る。
期限を決めて切る
「本日15時までに、在庫の確認結果をお電話します」相手はそれまで待てる。
15時に途中経過でも連絡すればよい。
約束を守った形になる。
短い期限を口にしない
その場をおさめたい気持ちから、短い期限を言ってしまうことがあります。守れなかったときの損失のほうが大きいので、社内の確認が要ることは無理に約束しません。「まず1時間後に、いつまでに回答できるかをご連絡します」という返し方もあります。
3段階で返すと決めておく
調査に時間がかかる案件では、返す内容を段階に分けると期限が決めやすくなります。
| 段階 | 返す内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 第1報 | 受け付けたこと、いま分かっていること、次の連絡時期 | 当日または翌営業日 |
| 第2報 | 影響範囲、暫定の処置 | 数日以内 |
| 第3報 | 原因と恒久対策(書面) | 1〜4週間 |
期限だけを1か所に集める
案件が2件、3件と重なると、どれが先に切れるか分からなくなります。受けた記録とは別に、期限だけを取り出した表を持ちます。
| 持たせる列 | 使い方 |
|---|---|
| 管理番号・相手先 | 元の記録とつなぐ |
| 約束した内容 | 何を返すことになっているか |
| 約束日・回答期限 | いつ約束して、いつまでか |
| 残日数 | 期限から今日を引く。マイナスは約束を破っている |
| 担当者 | 返す人 |
| 社内の確認先 | 回答が作れない理由が、社内の誰かで止まっていないか |
| 延長の連絡 | 不要/未/済 |
残日数の小さい順に見る
朝いちばんに残日数の順に並べ替えて、上から見るだけで、その日やることが決まります。マイナスの行があれば、すでに約束を破っているので、最優先で連絡します。
社内の確認先の列が効く
回答が作れない理由は、たいてい社内のどこかで情報が止まっていることです。誰に確認を投げているかを書いておくと、催促する先が分かります。ここが空欄の行は、担当者が抱え込んでいる可能性があります。
受けた記録と分ける理由
クレームの受付記録は、何を言われたかが中心で情報量が多くなります。期限を追うには重すぎるので、期限の表は別に持ちます。管理番号でつないでおけば、詳細はいつでも開けます。
間に合わないと分かったとき
調査が長引いて期限に間に合わない、ということは起こります。問題は遅れることではなく、黙って遅れることです。
| やること | いつ | 伝える内容 |
|---|---|---|
| 延長の連絡 | 期限の前。当日ではなく前日までが望ましい | 間に合わない理由、新しい期限、いま分かっていること |
| 途中経過の共有 | 期限が長い案件では中間で1回 | 調査の進み具合。まだ分からないことも含めて |
| 期限の再設定 | 延長の連絡と同時 | 新しい期限。今度は守れる日にする |
期限が過ぎてからの連絡は、遅れの倍の重さになる
期限を過ぎてから「まだできていません」と連絡すると、相手はすでに待っています。期限の前に伝えれば、相手は予定を組み直せます。同じ遅れでも、受け取られ方がまったく違います。
2回目の延長はしない
1回目の延長は理解されますが、2回目は信用の問題になります。延長するときは、余裕を持った日を出すほうが安全です。早く出せたら、それはそれで良い結果になります。
延長の連絡を「未」のまま残さない
期限の表に延長の連絡の列を作り、「未」に色が付く形にしておくと、伝え忘れが表に出ます。期限を過ぎたことに相手のほうが先に気づく、という状態がいちばん避けたい形です。
社内で止まっている案件を見つける
担当者が回答を作れない理由は、本人の怠慢よりも社内の他の部署で情報が止まっていることのほうが多くあります。
| 止まりやすい場所 | 見分け方 | やること |
|---|---|---|
| 製造の調査結果待ち | 確認先が製造で、残日数が減っている | 調査の期限を別に切る |
| 外注先の回答待ち | 確認先が社外 | 外注先にも期限を伝える。こちらの期限から逆算する |
| 上長の承認待ち | 回答案はできているが出ていない | 承認が要る範囲を決めておく |
| 誰に聞けばよいか分からない | 確認先が空欄のまま数日 | 担当者に聞く。抱え込みのサイン |
社外への依頼は、こちらの期限から逆算する
外注先に原因調査を依頼するとき、自社が客先に約束している期限から2、3日引いた日を相手の期限にします。相手の回答をそのまま転送するわけではないので、まとめる時間が要ります。
承認の範囲を先に決めておく
すべての回答に上長の承認を求めると、承認待ちで遅れます。金額や範囲で線を引いて、それ以下は担当者の判断で出せる形にすると、回答が速くなります。
回答の方法と記録
回答をどの方法で返したかも記録に残します。口頭で済ませたつもりが記録に残っていないと、あとで確かめられません。
| 方法 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 速さが要る。第1報 | あとから要点をメールで送る |
| メール | 記録が要る。日常のやり取り | 誰に送ったかを残す |
| 書面 | 正式な回答。原因と対策 | 社内の承認を通す。控えを保管する |
| 訪問 | 重い案件。関係の修復が要る | 訪問記録を残す。約束したことを持ち帰る |
電話のあとにメールを送る
電話は速いのですが、記録が残りません。3行でよいので、要点をメールで送ると、記録と証拠が同時にできます。相手の担当者が替わったときにも、経緯が残ります。
訪問で追加の約束をしたら、持ち帰って登録する
訪問先でその場の話から新しい約束が生まれることがあります。戻ってから期限の表に追加するのを忘れると、その約束だけが管理から漏れます。
期限を守る仕組みにする
期限を守るのは、担当者の記憶力ではなく仕組みの問題です。3つ用意すれば、ほぼ守れます。
- 残日数が自動で出る|今日から期限までの日数が見える。手で数えない
- 朝に1回見る場|残日数の小さい順に、上から3行だけ見る
- 延長の連絡の欄|伝えたかどうかが表に出る
朝の3分で足りる
全件を読む必要はありません。残日数が3日以下の行だけを見れば、その日にやることが分かります。件数が増えても、この読み方なら時間が伸びません。
監査の指摘と同じ表で扱わない
監査の指摘にも回答期限がありますが、相手も性格も違います。顧客への回答と、監査への回答は別の表で持つほうが読みやすくなります。期限管理の考え方は同じなので、様式は似た形で足ります。監査側の進め方は内部監査の指摘への対応で扱っています。
閉じた案件も残す
回答が終わった行を消すと、その相手と過去にどんなやり取りをしたかが追えなくなります。状態で絞れる形にして、行は残します。同じ相手から次の連絡が来たときに、経緯が分かります。
回答期限の管理でつまずきやすい3つ
その1:営業と品質で期限が違う
営業が相手に伝えた期限と、品質が社内で持っている期限がずれていることがあります。期限は1か所で持ち、誰が見ても同じ日付になるようにします。伝えた側が表に書く、という決め方が単純です。
その2:期限が営業日か暦日か決まっていない
「3日以内」が営業日なのか暦日なのかで、金曜に受けた案件は2日変わります。表には日付そのものを書くようにすると、この曖昧さが消えます。
その3:担当者が休むと止まる
期限の管理が担当者の手帳の中にあると、その人が休んだ日に何も進みません。期限の表を共有の場所に置くだけで、代わりの人が状況を把握できます。相手先の連絡先と、いま何を待っているかが書いてあれば、代打が務まります。
その4:回答したのに完了にしていない
返したあと表を更新しないと、いつまでも未完了の行が残り、表全体が信用されなくなります。回答した日を入れるまでが1件と決めておきます。
よくある質問
- Q. 第1報では何を伝えればよいですか?
- 受け付けたこと、いま分かっていること、次にいつ連絡するかの3つです。原因や対策は含みません。分かっていることが少なくても、次の連絡時期さえ伝われば、相手はそれまで待てます。
- Q. クレームの回答期限はどのくらいが一般的ですか?
- 業種と取引によりますが、第1報は当日から翌営業日、影響範囲と暫定処置は数日以内、原因と恒久対策の書面回答は1週間から1か月という置き方がよく使われます。相手から指定がある場合はそれに従ってください。
- Q. 期限に間に合わないときはいつ連絡すべきですか?
- 期限の前、できれば前日までです。期限を過ぎてから連絡すると、相手はすでに待っています。同じ遅れでも、前に伝えれば相手は予定を組み直せます。
- Q. 延長は何回まで許されますか?
- 回数の決まりはありませんが、2回目は信用の問題になります。延長するときは余裕を持った日を出してください。早く出せたら、それはそれで良い結果になります。
- Q. 回答期限の表は、受付の記録と分けるべきですか?
- 分けたほうが扱いやすくなります。受付の記録は何を言われたかが中心で情報量が多く、期限を追うには重すぎます。管理番号でつないでおけば、詳細はいつでも開けます。
- Q. 社内で回答が止まっているときはどうしますか?
- 確認先の列を見てください。製造の調査待ち、外注先の回答待ち、上長の承認待ちのどれかであることが多くあります。外注先に依頼するときは、自社の期限から2、3日引いた日を相手の期限にしてください。
- Q. 電話で回答した場合も記録が必要ですか?
- 必要です。3行でよいので、要点をメールで送っておくと、記録と証拠が同時にできます。相手の担当者が替わったときにも経緯が残ります。
- Q. 期限は営業日と暦日のどちらで数えますか?
- 表には日付そのものを書いてください。「3日以内」と書くと、営業日か暦日かで金曜に受けた案件は2日変わります。日付で書けば、この曖昧さが消えます。
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