内部監査の指摘への対応|観察事項と不適合で変わる進め方
内部監査や外部審査で指摘を受けたあと、対応が止まりやすいのは指摘の重さによって進め方が違うことが共有されていないときです。すべてを是正処置に回すと現場が回らず、すべてを軽く扱うと次回に同じ指摘が出ます。
一般には、監査の指摘は重い順に区分され、区分ごとに求められる対応が変わります。この記事では、監査 指摘 対応を区分ごとに整理し、期限の管理と次回までに残す記録までをまとめます。
この記事の内容(8項目)
- 監査の指摘は、区分によって対応が変わる
- 観察事項は「やらない」も選べる
- 区分の判断に迷ったら、重いほうで扱う
- 指摘を受けたら、まず事実を確かめる
- 「守れない決めごと」が原因のことがある
- 誤解だった場合も記録に残す
- 是正処置に回すものと、回さないもの
- 過去に同じ指摘があったなら、必ず是正処置
- 報告書に書く内容は、通常の是正処置と同じ
- 指摘の期限を管理する
- 回答期限と、実施完了は別
- 期限が近い行だけ見る
- 次回監査までに残しておく記録
- 「つながり」で見られる
- 有効性の確認まで一覧に載せる
- 内部監査の指摘と、外部審査の指摘の違い
- 内部監査の指摘こそ、早く手を打つ
- 内部監査で「指摘なし」が続くとき
- 監査の日程が決まった時点で、前回分を片付ける
- 指摘を出した監査員に、対策を見てもらう
- 監査の指摘対応でつまずきやすい3つ
- その1:指摘を受けた部署だけで抱える
- その2:回答書を作ることが目的になる
- その3:観察事項を全部無視する
- よくある質問
監査の指摘は、区分によって対応が変わる
指摘の呼び方は監査機関や社内規程によって違いますが、実務では重さで3つに分かれることが多くあります。呼び方より、何を求められているかで分けると迷いません。
| 区分 | 意味 | 求められる対応 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 重大な不適合 | 仕組みが機能していない | 原因究明、是正処置、有効性の確認まで | 短い(数週間で証拠提出) |
| 軽微な不適合 | 決めたとおりになっていない箇所がある | 修正と、原因への処置 | 1か月前後 |
| 観察事項・改善の機会 | いまは問題ないが、放置すると不適合になりうる | 対応の要否を判断し、判断を記録する | 次回監査まで |
観察事項は「やらない」も選べる
観察事項は、必ず対応しなければならないものではありません。やらないと判断すること自体は正当です。ただし、判断した理由と、いつ見直すかを記録に残していないと、次回に「放置していた」と受け取られます。
区分の判断に迷ったら、重いほうで扱う
社内の内部監査では、区分が曖昧なまま指摘だけが伝えられることがあります。迷ったときは重いほうで扱って、原因まで見にいくほうが安全です。あとから軽くするのは説明がつきますが、逆は説明が難しくなります。
指摘を受けたら、まず事実を確かめる
監査の指摘は、監査員が見た一部の記録や現場から出てきます。その事実が全体に当てはまるのか、その場面だけの話なのかを先に確かめます。ここを飛ばすと、対策の規模を間違えます。
| 確かめること | 結果によって変わること |
|---|---|
| 指摘された事実は実際にあったか | 誤解であれば、その旨を記録して終える |
| 他の記録・他の工程でも同じか | 1件だけなら修正、広がっていれば仕組みの問題 |
| いつからそうなっていたか | 最近か、ずっとかで、原因の候補が変わる |
| 決めごと自体が実態に合っているか | 手順が守れない形なら、手順のほうを直す |
「守れない決めごと」が原因のことがある
手順どおりにやっていなかった、という指摘の背景に、手順どおりにやると時間内に終わらないという事情が隠れていることがあります。この場合、教育や注意喚起では戻ります。決めごとのほうを実態に合わせて直すのが対策になります。
誤解だった場合も記録に残す
確認した結果、指摘が事実と違っていた場合は、その旨を記録します。何も残さずに閉じると、次回の監査で同じ指摘が出ます。どの記録を見て、どう確認したかまで書いておきます。
是正処置に回すものと、回さないもの
すべての指摘を是正処置報告書で処理すると、書類の量に押しつぶされます。線を決めておくと運用が回ります。
修正だけで閉じる
記入漏れ、日付の誤り、掲示の抜け。その場で直せて、仕組みの問題ではないもの。
直した記録だけ残す。
是正処置に回す
同じことが他でも起きている。決めごとが機能していない。
過去にも同じ指摘があった。
原因究明から効果確認まで回す。
過去に同じ指摘があったなら、必ず是正処置
前回も同じ指摘を受けていた場合、そのときの対応が効いていなかったことになります。掘るべきは指摘の内容ではなく、前回の対策が効かなかった理由です。実施されていなかったのか、実施したが定着しなかったのかで、打つ手が変わります。
報告書に書く内容は、通常の是正処置と同じ
監査の指摘だからといって、特別な書き方は要りません。事象、原因、処置、標準への反映、有効性の確認という並びは同じです。用語の使い分けは是正処置とはにまとめています。
指摘の期限を管理する
監査の指摘は、複数件がまとめて出ます。1件ずつ報告書を作っていると、全体でどれが遅れているかが見えません。指摘を1行ずつ並べた表を1枚持つと、そこだけ見れば済みます。
| 持たせる列 | 使い方 |
|---|---|
| 指摘番号・監査の種類 | 内部監査か外部審査か。回によって期限の重さが違う |
| 区分 | 重大/軽微/観察事項。対応の深さが決まる |
| 指摘の内容 | 監査員の言葉のまま。要約すると意図が抜ける |
| 回答期限 | 提出を求められている日 |
| 担当者 | 部署名ではなく個人名 |
| 状態 | 未着手/対応中/回答済/確認済 |
| 次回監査での確認 | 次に見られる予定かどうか |
回答期限と、実施完了は別
外部審査では、期限までに回答書の提出を求められます。ただ、回答した内容が実際に完了しているとは限りません。回答した日と、対策が完了した日を別の列で持つと、書類だけ出して現場が変わっていない状態を防げます。
期限が近い行だけ見る
指摘の一覧は、全件を毎週読む必要はありません。期限まで2週間を切っていて、状態が未着手の行だけ拾えば足ります。件数が増えても、この読み方なら時間が伸びません。
次回監査までに残しておく記録
監査での指摘は、次回に「その後どうなったか」を見られます。そのときに探し始めると時間がかかるので、対応した時点でまとめて置いておきます。
- 指摘の一覧|区分、対応内容、完了日が1枚で分かるもの
- 改訂した文書|名前と版、いつから適用したか
- 周知の記録|いつ、誰に伝えたか
- 有効性の確認結果|何を見て、効いたと判断したか
- やらないと判断したものの理由|観察事項で対応しなかったもの
「つながり」で見られる
一般に言われているのは、報告書1枚の出来より指摘から対策、標準への反映、効果確認までがつながっているかが見られる、ということです。報告書は立派なのに手順書が改訂されていない、という状態が指摘につながりやすい形です。
有効性の確認まで一覧に載せる
指摘への対応も、通常の是正処置と同じく効果確認まで見ます。案件の一覧に確認予定日を持たせておくと、次回監査の前に慌てて確認する、という状態を避けられます。判定の考え方は是正処置の有効性確認で扱っています。
内部監査の指摘と、外部審査の指摘の違い
どちらも指摘ですが、性格が違います。同じ扱いにすると、内部監査のほうが軽く流されます。
| 内部監査の指摘 | 外部審査の指摘 | |
|---|---|---|
| 誰が見るか | 社内の監査員 | 認証機関の審査員 |
| 期限 | 社内で決める | 審査機関から指示される |
| 提出物 | 社内の記録でよい | 回答書と証拠の提出を求められる |
| 流されやすさ | 流されやすい | 流せない |
内部監査の指摘こそ、早く手を打つ
内部監査は、外部審査の前に自分たちで見つけるための仕組みです。ここで見つかったものを放置すると、外部審査で同じ場所を指摘されます。そのときには「内部監査で分かっていたのに対応していない」という重い形になります。
内部監査で「指摘なし」が続くとき
毎回ほとんど指摘が出ない場合、監査が形式的になっている可能性があります。監査員が自分の部署を見ていないか、見る場所が毎回同じになっていないかを確認してみてください。指摘が出ることは、仕組みが働いている証拠です。
監査の日程が決まった時点で、前回分を片付ける
次回の監査の直前に前回の指摘を慌てて片付ける、という形になりがちです。日程が決まった時点で、前回の指摘の状態を一覧で確認すると、間に合う時期に手が打てます。確認するのは、未完了の行と、有効性の判定が空欄の行だけで足ります。
指摘を出した監査員に、対策を見てもらう
対策が指摘の意図に合っているかは、指摘を出した人がいちばん正確に判断できます。回答を出す前に、監査員に一度見てもらうと、やり直しが減ります。5分の確認で、1か月の手戻りを防げることがあります。
監査の指摘対応でつまずきやすい3つ
その1:指摘を受けた部署だけで抱える
指摘は特定の部署の記録から出ますが、原因は他部署にあることがよくあります。指摘された部署が単独で対策を書くと、自分たちの範囲で直せることしか出てきません。原因が外にあるなら、そこを含めて対策を立てます。
その2:回答書を作ることが目的になる
期限に追われると、書類を整えるほうが先になります。先に対策を決めて、あとから書類を整える順番に戻すと、中身が入ります。回答日と対策の実施日が同じ日に並んでいたら、この状態を疑ってください。
その3:観察事項を全部無視する
観察事項に対応しないこと自体は選べますが、全件を判断せずに流すと、次回に不適合として出てきます。1件ずつ、対応するかしないかを決めて記録するだけで、次回の説明が楽になります。判断に5分もかかりません。
指摘が繰り返し出ている場合は、対策後に再発したときもあわせてご覧ください。
よくある質問
- Q. 指摘への回答はどのくらいの分量が必要ですか?
- 分量より、指摘の意図に答えているかどうかです。事実の確認、原因、処置、標準への反映、有効性の確認の予定。この5つが揃っていれば、短くてもかまいません。回答を出す前に、指摘を出した監査員に一度見てもらうと手戻りが減ります。
- Q. 観察事項は必ず対応しなければなりませんか?
- 必ずではありません。対応しないと判断すること自体は正当です。ただし、判断した理由といつ見直すかを記録に残してください。何も残さずに流すと、次回に「放置していた」と受け取られます。
- Q. 指摘された内容が事実と違うときはどうしますか?
- 確認した結果を記録に残して閉じてください。どの記録を見て、どう確認したかまで書いておきます。何も残さずに閉じると、次回の監査で同じ指摘が出ます。
- Q. すべての指摘に是正処置報告書が必要ですか?
- 線を引いてください。記入漏れや掲示の抜けのように、その場で直せて仕組みの問題でないものは修正の記録だけで閉じられます。同じことが他でも起きている、決めごとが機能していない、過去にも同じ指摘があった、のどれかに当たるものを是正処置に回します。
- Q. 前回と同じ指摘を受けたときはどうすればよいですか?
- 掘るべきは指摘の内容ではなく、前回の対策が効かなかった理由です。実施されていなかったのか、実施したが定着しなかったのか、原因の特定が違っていたのかで、打つ手が変わります。
- Q. 指摘の回答期限はどのくらいが一般的ですか?
- 監査機関や社内規程によって異なります。外部審査では重大な不適合に短い期限が設定されることが多く、軽微なものは1か月前後、観察事項は次回監査までという置き方が一般的です。実際の期限は監査機関の指示に従ってください。
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