DRBFMとは?変更点から心配点を出して、議論で確かめる
DRBFMは、変わったところに絞って心配点を出し、それを集まって議論して確かめるやり方です。もとは自動車部品の設計で広まった進め方で、いまは工程の変更でも使われています。
頭文字の意味を覚えるより、考え方を1行でつかむほうが役に立ちます。「変えたところにしか、新しい不具合は生まれない」という前提に立った、未然防止の道具です。この記事では、変更点の拾い方から議論の場の作り方までまとめます。
この記事の内容(8項目)
DRBFMは、変わったところだけを見る
すべての工程やすべての部品を毎回見直すのは、現実には無理です。DRBFMは、見る範囲を変更したところと、その影響が及ぶところに絞ります。
変えていないところで新しい不具合が出ることは、まずありません。逆に言えば、不具合の多くは何かを変えた後に起きています。材料を変えた、設備を入れ替えた、担当が替わった、数量が増えた。
3つ目の議論が本体
紙を埋めることが目的になると、担当者が1人で書いて回覧するだけになります。それでは、その人が気づかなかったことは最後まで出てきません。
DRBFMの効き目は、集まって別の目で見るところから出ます。紙は議論の材料で、成果物ではありません。
DRBFMとFMEAの違い
よく比べられるのがFMEAです。役目が違うので、置き換えるものではありません。
FMEA
全部の部位・工程を洗う点数を付けて順位を出す
網羅するが、手間が大きい。
DRBFM
変更点だけに絞る議論で確かめる
軽く回せるが、変更の把握が前提。
使い分けの目安はこうです。新しく立ち上げるならFMEA、動いているものを変えるならDRBFM。一度FMEAで全体を洗ってあれば、その後の変更はDRBFMで追いかけられます。
| 場面 | 向いているもの |
|---|---|
| 新しい製品・新しいライン | FMEA。まだ変更点という概念が無い |
| 材料や設備を変える | DRBFM。変えたところに絞る |
| 数量が大きく増える | DRBFM。条件の変更として扱う |
| 久しぶりに作る | DRBFM。前回との差を変更点にする |
点数を付けるかどうか
FMEAでは発生・影響・検出に点数を付けて優先順位を出します。DRBFMでは点数を付けない形が多く使われます。議論で決めるからです。
点数を付けると、点の高い低いを議論することになり、心配点そのものの話が減ります。社内で使うなら、点数なしで始めて、件数が増えてから必要なら足す順番が回りやすい形です。
変更点を拾う。ここが実務の山
DRBFMがうまく回らない理由は、ほとんど1つです。変更があったことが、品質の担当まで伝わってこない。
変更は、いろいろな場所で起きます。拾う口を決めておかないと、後から「そんな変更があったのか」と分かります。
| 変わるもの | どこで起きるか | 伝わりにくい理由 |
|---|---|---|
| 材料・部品 | 調達 | 同等品への切替えは軽く扱われる |
| 設備・治具 | 保全・製造 | 修理や更新は変更と思われていない |
| 作業手順 | 現場 | やりやすくした改善が届かない |
| 人 | 人事・現場 | 担当交代が変更として扱われない |
| 数量・納期 | 営業 | 条件の変更という認識が無い |
変更点は「前」と「後」を並べて書く
「材料を変更」だけでは、何が変わったか分かりません。前が何で、後が何かを並べて書きます。メーカー名、型番、硬さ、寸法。並べて書くと、心配点が自然に出てきます。
変えていないところも1行書く
「前と同じもの」を明記しておくと、後から見た人が確かめ直さずに済みます。変わっていないことの確認も、記録の一部です。
心配点の書き方
心配点は、起きるかもしれないことを、起きた状態の言葉で書きます。「大丈夫か心配」ではなく、「どうなるのが心配か」まで下ろします。
| 書き方 | 例 | 議論できるか |
|---|---|---|
| あいまい | 材料の変更が心配 | できない。話が広がらない |
| 状態まで書く | 硬さが上がって、曲げ加工で割れる | できる。確かめ方が決まる |
| 場所まで書く | 曲げ半径の小さいR部で割れる | 試作で確かめられる |
心配点が具体になると、次にやることが自動で決まります。試作して曲げてみる、断面を見る、条件を振ってみる。ここまで下りない心配点は、議論しても結論が出ません。
3つの視点で出す
- その部位で起きること|変えたところ自体に何が起きるか
- つながる先で起きること|後工程や組み付け先で何が起きるか
- 気づけるかどうか|もし起きたとき、出荷前に見つかるか
3つ目を忘れると、対策が発生側だけになります。起きたときに止められるかまで見ておくと、検査の側の手当てが入ります。
気づけるかどうかを詰めたいときは、FTA分析の書き方が使えます。作ってしまうことと、気づけないことを分けて並べると、どちらに手を打つかを選べます。
議論の場の作り方
DRBFMの議論は、長い会議にする必要はありません。人がそろっていることのほうが大事です。
- 変更を決めた人|なぜ変えるのか、何を確かめて決めたのかを知っている
- 実際に作る人|変更後にどう作業が変わるかが分かる
- 後工程・検査の人|組み付けや検査で何が起きるかが分かる
- 過去を知っている人|似た変更で何が起きたかを覚えている
4人目がいると、議論の質が一段変わります。前に同じようなことをやって失敗したという話は、紙からは出てきません。
反対意見を出す役を決めておく
変更を進めたい人だけが集まると、心配点が出ません。その場で「起きるとしたら何か」だけを言う役を1人決めておくと、議論が偏りません。役なので、人柄の問題になりません。
決めたことを紙に書き戻す
議論で出た心配点と、確かめる方法、担当、期限。その場で紙に書き戻します。後でまとめると、言葉が丸くなって、何を確かめるか分からなくなります。
確かめた結果も、同じ紙に書きます。変更点管理の記録として残しておくと、次に似た変更があったときにそのまま使えます。
DRBFMが回らないときに見るところ
やってみたけれど続かない、という声が多い道具でもあります。だいたい原因は3つに絞られます。
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 変更があったことに後から気づく | 拾う口が決まっていない | 朝礼で週1回聞く。調達と保全に口を作る |
| 紙は埋まるが何も出てこない | 1人で書いて回覧している | 30分でよいので集まる |
| 心配点が「心配です」で止まる | 状態まで下ろしていない | 「どうなるのが心配か」と1回聞き返す |
全部の変更でやらない
変更のたびに集まるのは続きません。影響が大きいものだけを集まって議論し、小さいものは紙だけという線を決めます。線は、顧客に届く部位かどうか、止まると生産に響くかどうかで引けます。
過去の紙を出発点にする
毎回ゼロから心配点を出すのは大変です。似た変更の紙が残っていれば、そこに書いてある心配点を読み上げるところから始めます。当てはまらないものを消していくほうが、思い出すより早く進みます。
社内で回すための3つの決めごと
DRBFMを続けるために決めることは、3つです。
- 変更を拾う口|誰が、いつ、どうやって知らせるか。朝礼で週1回聞くだけでも成立します
- 集まる線|どこから上を集まって議論するか。それ以外は紙だけにする
- 残し方|心配点・確かめる方法・結果を同じ紙に。次の変更の出発点になります
この3つを1枚に書いて、シートのそばに置いておきます。
変更の前にやる
当たり前に見えますが、いちばん崩れるところです。変えてしまってから紙を書く形になると、未然防止ではなく記録になります。変更の承認の手前に置くと、順番が守られます。
心配点が当たったかを後から見る
半年に1回、過去の紙を見返します。心配していたことが実際に起きたか、起きなかったか。当たった心配点の書き方が、良い書き方です。これを共有すると、次から出てくる心配点の質が上がります。
よくある質問
- Q. DRBFMは何の略ですか。
- 変更点に着目した設計審査を指す英語の頭文字です。略の中身を覚えるより、「変えたところにしか新しい不具合は生まれない」という考え方をつかむほうが役に立ちます。
- Q. FMEAとどちらをやればよいですか。
- 置き換えるものではありません。新しく立ち上げるならFMEA、動いているものを変えるならDRBFMです。一度FMEAで洗ってあれば、その後の変更はDRBFMで追えます。
- Q. 点数を付ける必要はありますか。
- DRBFMでは付けない形が多く使われます。点の高低を議論すると、心配点そのものの話が減ります。点数なしで始めて、件数が増えてから必要なら足します。
- Q. 設計だけのものですか。
- 工程の変更でも使えます。材料の切替え、設備の更新、担当の交代、数量の増加。変えたところがあれば対象です。
- Q. 変更があったことが伝わってきません。
- 拾う口を決めます。朝礼で「今週、何か変えるものはありますか」と週1回聞くだけでも、かなり拾えます。調達と保全に口を作るのも効きます。
- Q. 心配点がうまく書けません。
- 「どうなるのが心配か」と1回聞き返します。起きた状態の言葉まで下ろすと、確かめ方が自動で決まります。場所まで書けるとさらに具体になります。
- Q. 全部の変更で集まるのは大変です。
- 線を引きます。顧客に届く部位か、止まると生産に響くかで分けて、大きいものだけ集まります。小さいものは紙だけで構いません。
- Q. 集まるメンバーは誰ですか。
- 変更を決めた人、作る人、後工程や検査の人、そして過去を知っている人です。4人目がいると、紙からは出てこない話が出ます。
- Q. 書いた紙はどう使いますか。
- 次に似た変更があったときの出発点にします。過去の心配点を読み上げて、当てはまらないものを消すほうが、ゼロから思い出すより早く進みます。
- Q. 変更の前にやるのですか、後ですか。
- 前です。変えてしまってから紙を書くと、未然防止ではなく記録になります。変更の承認の手前に置くと、順番が守られます。
- Q. 反対意見が出ません。
- 「起きるとしたら何か」だけを言う役を1人決めておきます。役なので、人柄の問題になりません。変更を進めたい人だけが集まると、心配点は出てきません。
- Q. 心配点が当たったかを後から見ますか。
- 半年に1回、過去の紙を見返します。当たった心配点の書き方が、良い書き方です。これを共有すると、次から出てくる心配点の質が上がります。
- Q. 変更と言えるかどうか迷います。
- 前と後を並べて書けるなら変更です。同等品への切替え、設備の修理、担当の交代も含みます。迷ったら紙を1枚起こすほうが安全です。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。