外注先への品質連絡|伝えた要求を記録で残す
外注先で作られた品に不具合が出たとき、「そんな話は聞いていない」と言われることがあります。こちらは伝えたつもりでも、電話や口頭で伝えた要求は、担当者が替わった時点で消えます。
一般には、外注先への品質連絡は伝えた内容と、相手が受け取ったことの両方を記録に残して行います。この記事では、外注先への品質連絡について、伝える内容の決め方、記録の残し方、そして相手の反応の見方をまとめます。
この記事の内容(8項目)
- 外注先への品質連絡には2種類ある
- 不具合の連絡は、社内と同時に出す
- 日常の伝達は、記録に残ることが目的
- 何を伝えるかを具体にする
- 「誰が・いつ・何を・どうする」で書く
- 見本があるなら、見本で伝える
- なぜその要求なのかも伝える
- 伝えた記録に残す項目
- 相手の反応の欄がいちばん大事
- 電話のあとにメールを送る
- 担当者名を必ず書く
- 相手の反応から読み取ること
- 「難しい」と言われたときが分かれ目
- 受入検査でも見ておく
- 不具合が出たときの連絡
- 現物は不具合品と良品を両方送る
- 回答期限を決めて伝える
- 相手の是正処置報告を、そのまま信じない
- 止める連絡は、社内と同時に
- 連絡の記録を、外注先ごとに見る
- 同じ内容を何度も伝えているなら、伝え方を変える
- 連絡が少ない先が良い先とは限らない
- 外注先への品質連絡でつまずきやすい3つ
- その1:購買と品質で別々に連絡している
- その2:図面に書いてあるから伝えたことになっている
- その3:単価だけ下げて、要求はそのまま
- よくある質問
外注先への品質連絡には2種類ある
同じ「連絡」でも、日常の要求伝達と、不具合が出たときの連絡では、伝える内容も速さも違います。混ぜると、日常の連絡が緊急扱いされなくなります。
日常の要求伝達
こう作ってほしい、ここを見てほしい。期限は緩い。
相手が理解して実行できることが目的。
伝わったかを確かめる。
不具合が出たときの連絡
止めてほしい、確認してほしい。即日。
相手に動いてもらうことが目的。
受け取ったかを確かめる。
不具合の連絡は、社内と同時に出す
自社で止める判断をしたなら、外注先にも同時に連絡します。社内を先に片付けてから外注先に、という順番だと、その間に外注先から出荷されます。止める判断の進め方は出荷停止の判断基準で扱っています。
日常の伝達は、記録に残ることが目的
日常の要求は急ぎではないぶん、口頭で済ませがちです。ここが記録に残っていないと、あとで不具合が出たときに「伝えていたかどうか」から始まります。1件1行でよいので、伝えた内容を残します。
何を伝えるかを具体にする
「品質に気をつけてほしい」では、相手は何をすればよいか分かりません。動作にならない要求は、伝えていないのと同じです。
| 伝わらない伝え方 | 動作になる伝え方 |
|---|---|
| 「バリに気をつけてください」 | 「バリの高さは0.1mm以下。出荷前に全数で指で触って確認してください」 |
| 「梱包を丁寧にお願いします」 | 「1箱20個まで。仕切りを入れて、製品どうしが接触しないようにしてください」 |
| 「品質を安定させてください」 | 「寸法Aを1ロットにつき5個測定し、記録を添付してください」 |
| 「不良を減らしてください」 | 「前回と同じ現象が出たら、出荷前に連絡してください。判断はこちらでします」 |
「誰が・いつ・何を・どうする」で書く
要求を書くときは、この4つがそろっているかを見ます。1つでも欠けていると、相手の解釈が入ります。解釈が入った時点で、こちらの想定と違うことが起きます。
見本があるなら、見本で伝える
言葉で伝えにくい判定基準(色、外観、程度)は、限度見本を渡すのがいちばん確実です。渡した見本には有効期限を決めておき、劣化したら作り直します。見本の管理は限度見本の管理にまとめました。
なぜその要求なのかも伝える
理由を伝えると、相手が自分で判断できるようになります。「後工程で自動機に入れるので、バリがあると詰まります」と言えば、指定した以外の場所のバリにも気づいてもらえます。
伝えた記録に残す項目
記録は、あとで「伝えたかどうか」を確かめるために残します。次の6つがあれば足ります。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 連絡日 | 日付。急ぎのものは時刻まで |
| 相手先・担当者名 | 会社名だけでなく、受けた人の名前 |
| 対象 | 品名・図番・ロット。全般なら「全品」と書く |
| 伝えた内容 | 動作になる形で。判定基準は数値で |
| 連絡方法 | 電話/メール/訪問/書面 |
| 相手の反応 | 了解/確認して回答/できないと言われた |
相手の反応の欄がいちばん大事
伝えた記録だけあって、相手が何と答えたかが無いと、合意できていたのかどうかが分かりません。「できない」と言われていたのに記録に残っていないと、次に不具合が出たときに話がこじれます。
電話のあとにメールを送る
電話で伝えると速いのですが、記録が残りません。電話のあとに要点をメールで送ると、記録と証拠が同時にできます。「先ほどお電話でお伝えした内容です」と3行書くだけで足ります。
担当者名を必ず書く
相手の会社名だけだと、誰に伝わったかが分かりません。担当者が替わったときに、引き継がれているかを確かめる起点になります。年に1回、相手の窓口が替わっていないか見ておくとよいです。
相手の反応から読み取ること
要求を伝えたときの反応には、その後を左右する情報が含まれています。「了解しました」以外の反応こそ、拾う価値があります。
| 反応 | 読み取れること | やること |
|---|---|---|
| その場で「できます」 | すでにやっているか、簡単なこと | 初回だけ現物で確認する |
| 「確認して回答します」 | 設備や工程の変更が要る可能性 | いつまでに回答をもらうか決める |
| 「難しい」 | 費用か能力の問題 | 要求のほうを見直せないか一緒に考える |
| 「やってみます」 | できるか分かっていない | 初回ロットを重点的に見る |
| 反応が無い | 伝わっていない可能性 | 別の経路でもう一度伝える |
「難しい」と言われたときが分かれ目
できないと言われたときに要求を押し通すと、形だけ受けて実際にはやらないという状態になります。これがいちばん危険です。費用の問題なら単価の話をし、能力の問題なら自社で受け入れ時に見るなど、実行できる形に落とすほうが結果的に安全です。
受入検査でも見ておく
要求を伝えたあと、実際にそのとおりになっているかは受入で確かめます。伝えた直後の1、2ロットだけ重点的に見ると、認識のずれがその時点で分かります。数か月後に分かるより、被害がはるかに小さくなります。
不具合が出たときの連絡
外注品に不具合が出たときは、日常の連絡とは別の速さで動きます。伝える順番を決めておくと、迷いません。
現物は不具合品と良品を両方送る
不具合品だけを送ると、相手は「どこが問題か」の判断から始めます。良品を一緒に送ると、差が一目で分かります。言葉で説明するより速く、正確に伝わります。
回答期限を決めて伝える
「原因を調べてください」だけだと、いつ返ってくるか分かりません。いつまでに、何を(原因なのか、対策なのか、暫定の処置なのか)返してほしいかを決めて伝えます。自社が客先に約束している期限から逆算します。
相手の是正処置報告を、そのまま信じない
報告書を受け取ったら、対策が動作になっているか、効果確認の予定があるかを見ます。「以後注意する」で終わっている報告書は、こちらから聞き直します。見るべき点は是正処置とはで整理しています。
止める連絡は、社内と同時に
自社の在庫を止めたなら、外注先の工程にも自社の品が流れています。同時に連絡しないと、その間に加工されて出てきます。
連絡の記録を、外注先ごとに見る
1件ずつの記録を、外注先ごとにまとめて見ると、傾向が出てきます。年に1回、この読み方をすると、次の発注先の判断材料になります。
| 見る数字 | 読み取れること |
|---|---|
| 連絡の件数 | 多い先は、要求が伝わりにくいか、能力が合っていない |
| 同じ内容の再連絡 | 1回で伝わっていない。伝え方か記録に問題 |
| 「難しい」と言われた件数 | 要求と能力が合っていない。発注そのものの見直し |
| 不具合の連絡の件数 | 受入で止まっているか、客先まで流れているか |
同じ内容を何度も伝えているなら、伝え方を変える
同じ要求を3回伝えているなら、口頭や文書では伝わらないということです。見本を渡す、現場に行って一緒に確認する、検査項目として明記するなど、形を変えます。
連絡が少ない先が良い先とは限らない
連絡が少ないのは、問題が無いのか、こちらが見ていないだけなのか、どちらもあり得ます。受入検査の結果とあわせて見ると、実態が分かります。
外注先への品質連絡でつまずきやすい3つ
その1:購買と品質で別々に連絡している
購買が納期の話をし、品質が要求の話をしていると、相手は優先順位を付けられません。誰が窓口かを決めて、記録も1か所にまとめると、伝えたことが積み上がります。
その2:図面に書いてあるから伝えたことになっている
図面や仕様書に書いてあっても、相手が読んでいなければ伝わっていません。変更したときや、重要な点は、口頭でも伝えて記録に残すほうが確実です。とくに図面の改訂は見落とされやすい部分です。
その3:単価だけ下げて、要求はそのまま
単価を下げたあとに不具合が増えることがあります。要求と価格は結びついているので、下げるときは何かを緩められないかも一緒に見ます。緩められないなら、価格の下げ幅を見直す判断もあります。
よくある質問
- Q. 外注先への品質要求はどこまで具体的に書くべきですか?
- 「誰が・いつ・何を・どうする」の4つがそろう形にしてください。1つでも欠けると相手の解釈が入り、想定と違うことが起きます。判定基準は数値で書き、言葉で伝えにくいものは限度見本を渡してください。
- Q. 口頭で伝えた内容も記録に残すべきですか?
- 残してください。電話のあとに要点をメールで送ると、記録と証拠が同時にできます。「先ほどお電話でお伝えした内容です」と3行書くだけで足ります。担当者が替わったときに、伝わっていたかを確かめる起点になります。
- Q. 「できない」と言われた要求はどう扱いますか?
- 押し通すと、形だけ受けて実際にはやらない状態になります。費用の問題なら単価の話をし、能力の問題なら自社の受入で見るなど、実行できる形に落としてください。できない要求を記録上だけ合意しても、不具合は防げません。
- Q. 外注品の不具合が出たとき、まず何をしますか?
- 該当ロットの加工と出荷を止めてもらうのが先です。範囲の確認を待っている間に出荷されます。そのうえで、不具合品と良品の両方を送り、いつまでに何を返してほしいかを決めて伝えます。
- Q. 相手から受け取った是正処置報告はどう見ればよいですか?
- 対策が動作になっているか、効果確認の予定があるかを見てください。「以後注意する」で終わっている報告書は、誰が読んでも同じ動作になりません。聞き直すか、こちらの受入で当面見る形にします。
- Q. 連絡の件数が多い外注先は変えるべきですか?
- 件数だけでは判断できません。要求が伝わりにくいのか、能力が合っていないのか、こちらの伝え方に問題があるのかで対応が変わります。同じ内容を3回伝えているなら、伝え方を変えるほうが先です。
この記事で使う無料テンプレート
あわせて読みたい記事
本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。