QC工程表とは?作業標準書との線引きで迷わなくなる
QC工程表は、原材料の受入から出荷までの工程を順に並べて、どの工程で何をどう管理するかを1枚にまとめた表です。取引先から求められて作ることが多く、様式も項目例も探せば出てきます。
困るのはその先です。作業標準書と何が違うのかがはっきりしないまま作ると、同じことを2つの書類に書いて、片方だけが古くなります。この記事では、QC工程表を、工程の並べ方・管理特性の決め方・作業標準書との線引き・改訂の回し方までまとめます。
すでに1枚持っている場合も、最後の改訂がいつだったかを見るところから始められます。現場の実際と合っていない行が1つでもあれば、監査より先に現場が困っています。
この記事の内容(8項目)
QC工程表は「工程の流れ」と「管理のしかた」を1枚に載せる
QC工程表に決まった様式はありません。ただ、載せるものはだいたい共通しています。
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 工程 | 受入、加工、組立、検査、梱包、出荷。順に並べる |
| 管理特性 | その工程で守る値(寸法、温度、トルク、外観) |
| 規格・基準 | いくつからいくつまでか |
| 管理方法 | 誰が、何で、どのくらいの頻度で測るか |
| 記録 | どの帳票に残すか |
| 異常時の処置 | 外れたときに何をするか、誰に上げるか |
ポイントはここです。最後の「異常時の処置」が抜けている表が多くあります。測る決まりだけがあって、外れたときの決まりが無いと、現場はその場で判断することになります。
列の並びも、この順が読みやすくなります。工程を左に置いて、右に行くほど細かくする形です。管理特性と規格が離れていると、どの値の規格なのかが読み取れません。
取引先から様式を渡されたときは、そちらに合わせます。項目の呼び方が違うだけで、求められている中身はほぼ同じです。自社の表から写す形にすると、毎回作り直さずに済みます。
工程の洗い出しからやるなら、先に工程のリスク洗い出しで危ないところを出しておくと、管理特性を決めるのが早くなります。
行数の目安は、1工程1行です。1つの工程を細かく割って20行にすると、全体のつながりが読めなくなります。細かい話は作業標準書のほうに置きます。
受入と出荷も工程として1行ずつ入れます。ここを省く表がよくありますが、外から入るものと外へ出るものの管理が抜けると、取引先から見て穴のある表になります。
QC工程表と作業標準書は、読む人が違う
この2つは中身が重なります。線引きの目安は、誰が読むかです。
| QC工程表 | 作業標準書 | |
|---|---|---|
| 読む人 | 管理する人・取引先・監査 | その工程で作業する人 |
| 見るもの | 工程全体のつながり | 1つの作業の手順 |
| 粒度 | 1工程1行 | 1工程で何ページにもなる |
| 書くこと | 何を管理するか | どうやるか |
つまり、QC工程表は「地図」で、作業標準書は「道順」です。地図に道順を書き込むと読めなくなり、道順に地図を貼ると更新が追いつかなくなります。
実務では、QC工程表の記録の列から作業標準書の番号を引くようにしておくと、両方を行き来できます。同じ内容を2回書かずに済みます。
作業標準書のほうを直したときの周知は、作業標準の改訂にまとめてあります。
どちらを先に作るかで迷ったら、QC工程表が先です。工程全体を並べてからでないと、どの作業に標準書が要るかが決まりません。標準書から作ると、作った分だけが管理されている状態になります。
そのうえで、QC工程表に書いた管理特性のうち、作業のしかたで結果が変わるものだけに標準書を作ります。設備が自動で決める値まで手順書にすると、更新する書類だけが増えます。
QC工程表の管理特性は「外れたら分かるもの」で選ぶ
管理特性を増やしすぎると、測る時間が足りなくなります。減らしすぎると、不具合が流出します。
選ぶ目安は3つです。
- 後工程で直せないもの。そこを外すと手戻りが大きい
- ばらつく実績があるもの。過去の不具合から拾う
- お客様が見るもの。図面や仕様書で指定されている
逆に、外しても後で気づける項目は、全数でなくてもよいことが多くなります。抜取にするか、工程の最後でまとめて見るかを決めます。
過去の不具合から拾うなら、月ごとの集計が材料になります。どの工程で何が出ているかは月間の不具合集計で見ます。
管理特性は、数えられるか測れるものにします。「きれいに」「しっかり」は管理特性になりません。外観のように数値で表しにくいものは、限度見本を基準として指定します。
1工程に管理特性が5つも6つも並ぶときは、工程の分け方が粗すぎることが多くなります。工程を2つに割ると、それぞれが2つか3つに収まります。
QC工程表の管理方法は「誰が」まで書く
管理方法の列で止まりやすいのが、主語です。
| 書き方 | 現場で起きること |
|---|---|
| 「ノギスで測定」 | 誰が測るのか決まらず、測られない日ができる |
| 「作業者が各ロット初品をノギスで測定」 | 誰が・いつ・何回が決まる |
頻度も同じです。「随時」と書くと、実際には測られません。初品、1時間ごと、ロットごと、全数。数えられる言葉にします。
測る道具にも管理が要ります。校正の期限が切れた道具で測った記録は、あとから使えません。道具の管理台帳は別に持ちます。
記録の列も同じです。「記録する」ではなく、どの帳票のどの欄かまで書きます。帳票名が入っていれば、監査で記録を求められたときにその場で出せます。
異常時の処置は、2つに分けて書くと迷いません。その場で止めるのか、流してよいが記録を残すのか。止める基準を書いておかないと、判断が人によって変わります。
上げ先は役職名で書きます。個人名で書くと、その人が異動した日から表が古くなります。
QC工程表は変更が入ったときに止まる
作った直後のQC工程表は、たいてい正しい状態です。崩れるのはそのあとです。
材料が変わる、設備が入れ替わる、人が替わる、工程の順番が変わる。そのたびに表を直す必要がありますが、直す担当が決まっていないと、現場の実際と表がずれていきます。
ずれたまま監査を受けると、指摘はQC工程表そのものではなく「文書管理ができていない」という形で出ます。そのほうが後の対応は重くなります。
変更が入るタイミングを決めごとにしておくのが確実です。変更点管理の中に、QC工程表を直す手順を1行入れておきます。
改訂の履歴は表の中に残します。いつ、どこを、なぜ直したか。3列あれば足ります。履歴が無いと、前の版で作ったものを調べるときに何も分かりません。
版数は表の全体に1つ付けます。行ごとに版数を持つと、どの版で出荷したかが追えなくなります。1か所でも直したら全体の版を上げる、という決め方が扱いやすくなります。
QC工程表を取引先から求められたとき
新規の取引や監査の前に、提出を求められることがあります。
このとき、社内用の表をそのまま出すかどうかで迷います。社内用には、設備の型式や内部の基準値など、外に出したくない情報が入っていることがあります。
一般には、提出用と社内用を分けて持つ会社が多くあります。とはいえ、2つ持つと片方が古くなるという、さきほどと同じ問題が起きます。
そのため、列を分けておく形が扱いやすくなります。社内用の列を印刷範囲の外に置けば、1つの表のまま提出用を出せます。
監査で指摘を受けたあとの流れは監査の指摘対応にまとめてあります。
提出のときは、図面番号や品番も合わせて求められます。どの製品のQC工程表かが分からないと、受け取った側で整理できません。表の上部に品番・製品名・版数・作成日を置きます。
複数の製品で工程が同じなら、1枚にまとめて品番を並べる形も使われています。とはいえ、管理特性の規格値が製品ごとに違うなら、分けたほうが読み違いが起きません。
QC工程表を作る順番
白紙から作るなら、次の順で進めると手戻りが出ません。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 工程を紙に並べる。細かく分けず、まず10行以内に収める |
| 2 | 各工程で「ここを外すと後で困る」ものを1つずつ挙げる |
| 3 | その値の規格を図面・仕様書から引く |
| 4 | 誰が・何で・どのくらいの頻度で測るかを入れる |
| 5 | 外れたときの処置と、上げ先を書く |
| 6 | 現場で1週間使ってみて、測れなかった項目を見直す |
6番目が抜けると、机の上では正しいが現場では回らない表になります。作ったあとに一度使ってみるところまでが作成です。
作る前に危ないところを洗い出しておくと、管理特性の選び方が決まります。工程ごとのリスクの出し方は工程FMEAにまとめてあります。
1番目で工程を細かく分けたくなりますが、最初は粗くて構いません。使ってみて「この工程の中で管理が2つに分かれている」と分かってから割るほうが、実際の作業に合った分け方になります。
3番目の規格は、必ず図面や仕様書から引きます。現場の感覚で入れた値は、あとで取引先の図面と食い違います。引用元の図面番号も併せて控えておくと、図面が改訂されたときに追えます。
よくある質問
- Q. QC工程表とQC工程図は違うものですか。
- 同じものを指す言い方です。表の形で作ることが多いためQC工程表、工程の流れを図記号で示すためQC工程図と呼ばれます。取引先がどちらの言い方をしていても、求められている中身は同じことがほとんどです。
- Q. QC工程表は誰が作りますか。
- 品質保証や技術の担当が作り、現場の作業者と一緒に確かめる形が一般的です。現場を見ずに作ると、測れない頻度や、実際にはやっていない手順が入ります。
- Q. 作業標準書があればQC工程表は要りませんか。
- 読む人が違うので、両方あるほうが扱いやすくなります。作業標準書は1工程の手順を細かく書くもので、工程全体のつながりや管理の頻度は見えません。取引先や監査が見るのはつながりのほうです。
- Q. コントロールプランとの違いは何ですか。
- コントロールプランは自動車業界の要求で使われる言い方で、求められる項目がより細かく決まっています。工程ごとに管理特性と管理方法を並べるという考え方は同じです。
- Q. エクセルで作って問題ありませんか。
- エクセルで作っている会社が大半です。気をつけるのは、版の管理と配布です。各自が手元に写しを持つと、古い版で作業する人が出ます。最新の1枚だけを共有の場所に置いて、印刷物には版数と印刷日を入れる形が扱いやすくなります。
- Q. 工程に外注が入るときはどう書きますか。
- 外注の工程も1行として並べます。中の手順は書けませんが、受け取るときに何を確かめるか(受入検査の項目と頻度、添付を求める記録)を管理方法の列に書きます。外注先から出てくる検査記録の様式も、そこで指定しておきます。
- Q. どのくらいの頻度で見直しますか。
- 定期で見るより、変更が入ったときに直すほうが確実です。材料・設備・人・工程の順番が変わったら、その場で1行直します。年に1回まとめて見直す運用だけにすると、その1年はずれたままになります。
この記事で使う無料テンプレート
あわせて読みたい記事
本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点のものです。