原因を掘る

ゲージR&R|測る側のばらつきを、工程と分けて見る

公開 2026-09-27 執筆 改善板 編集部

寸法がばらついている。工程を調整しても収まらない。よく調べたら、ばらついていたのは測っている側だった。

ゲージR&Rは、そのばらつきがどこから来ているかを分けて見る方法です。測る人によって値が変わるのか、同じ人が測り直しても変わるのか。ここを分けずに工程をいじると、直らないまま時間だけが過ぎます。

この記事では、ゲージR&Rを、何人で何回測るか・結果の読み方・%が大きかったときの手当て・やる前に確かめることまでまとめます。

限度見本・基準見本 管理表(Excel・無料)合否の基準になる見本を、置き場所と有効期限つきで管理します。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る
この記事の内容(11項目)

ゲージR&Rは2つのばらつきを分ける

名前のR&Rは、2つの言葉の頭文字です。

見ているもの原因になりやすいもの
繰り返し性同じ人が同じものを測り直したときの差測定器そのもの。分解能、がたつき
再現性人が替わったときの差測り方。当て方、読み方、力加減

ポイントはここです。どちらが大きいかで、直す相手が変わります。繰り返し性が悪ければ測定器、再現性が悪ければ手順と教育です。

測定器を買い替えても、当て方がばらばらなら値は揃いません。逆に、いくら教えても分解能が足りない測定器では限界があります。

そのため、まず分けて見ます。分けずに「測定がおかしい」とだけ言うと、打つ手が決まりません。

工程側のばらつきの見方は工程能力指数にまとめてあります。

工程別リスク洗い出し表(Excel・無料)工程ごとに起こりうることを並べ、影響度と起こりやすさで順位を付けます。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

何人で、何個を、何回測るか

一般には次の形で行われます。

  • 測る人:3人
  • 対象:10個
  • 回数:1人が同じものを2〜3回

3人 × 10個 × 3回で90回。半日あれば終わります。

対象の10個は、ふだん作っているもののばらつきを含む形で選びます。全部が同じ寸法のものだと、差が出ているのか測定のせいなのか分かりません。

規格の上限に近いもの、下限に近いもの、真ん中のもの。この3種類が混ざるように選びます。

測る順番はばらばらにします。同じ順で測ると、前の値を覚えていて引きずります。

そのうえで、測る人にはどれが何番か分からないようにします。番号を裏に書くだけで足ります。

ゲージR&Rをやる前に確かめる3つ

これを飛ばすと、結果が読めません。

確かめることなぜ
測定器の校正が生きているか期限切れの器で測った値は使えない
分解能が足りているか規格の幅に対して目盛りが粗すぎないか
測る場所が決まっているか同じ部品でもどこを測るかで値が変わる

2つ目が実務でいちばん効きます。目安として、規格の幅を10で割った値より細かく読めることが求められます。

規格が0.1mmの幅なのに0.05mm刻みでしか読めない測定器では、そもそも判断できません。この場合、ゲージR&Rをやるまでもなく測定器を替える話になります。

3つ目については、測る位置を図で示しておきます。作業標準書に1枚入れるだけで、再現性がかなり変わります。

標準の直し方は作業標準の改訂にまとめてあります。

結果をどう読むか

出てくるのは、全体のばらつきに占める測定の割合です。

%の目安扱い
10%未満問題なしとされることが多い
10〜30%用途による。重要な特性なら手を打つ
30%超そのままでは使えない

線の引き方は業界や取引先の要求で変わります。自社が何を求められているかを先に確かめます。

大事なのは%の数字より、繰り返し性と再現性のどちらが大きいかです。合計が同じ20%でも、中身が違えば打つ手が違います。

そのうえで、部品のばらつきが小さすぎると%は大きく出ます。分母が小さくなるためです。選んだ10個が似すぎていないかを、ここで確かめ直します。

計算は表計算でできます。専用のソフトが無くても、分散を分けるところまでは追えます。

繰り返し性が悪いとき

同じ人が測り直しても値が変わる状態です。測定器側を見ます。

  • 分解能が足りない。目盛りが粗い
  • 器そのものが傷んでいる。がたつき、摩耗、ゼロ点のずれ
  • 測る対象が動く。柔らかい、薄い、たわむ
  • 置き方が安定しない。治具が無く、手で持っている
  • 環境が変わる。温度で寸法が変わるもの

4つ目は見落とされがちですが、効き目が大きいところです。測定用の治具を作るだけで、ばらつきが半分になることがあります。

3つ目については、測る力を決めます。定圧の機構が付いた測定器を使うか、当てる力を手順で決めます。

5つ目は、精度の高い測定で問題になります。測る場所の温度を決めるか、時間を置いてから測ります。

再現性が悪いとき

人が替わると値が変わる状態です。手順と教育を見ます。

見るところ手当て
測る位置図で示す。目印を付ける
測る向き縦か横か。基準面を決める
当てる力定圧の機構。または回数を決める
読み方目盛りの読み、桁の丸め方
器の使い方ゼロ合わせのタイミング

どれも、文章より図と実演のほうが伝わります。1回集まって、同じものを全員で測ってみるのがいちばん早く揃います。

そのうえで、測り方を作業標準書に入れます。口頭で教えると、伝言のたびに変わります。

新しく入った人には、この確認を教育の中に入れます。作業標準の改訂と同じ形で、測れるかどうかも見ます。

ゲージR&Rをやる場面

全部の測定でやる必要はありません。

  • 新しい測定器を入れたとき
  • 新しい製品や工程を立ち上げたとき
  • 工程を調整しても不良が減らないとき
  • 取引先から求められたとき
  • 測る人が大きく入れ替わったとき

3つ目が、実務でいちばん助かる使い方です。工程をいじっても収まらないなら、測っている側を疑う番です。

そのため、不良の原因を掘るときの選択肢に入れておきます。原因分析の進め方で要因を挙げるときに、測定を1つの枝として置きます。

逆に、外観のように数値で測らないものには使えません。そちらは限度見本で揃えます。

見本の扱いは限度見本の管理にまとめてあります。

結果を記録として残す

やりっぱなしにすると、次に求められたときに繰り返すことになります。

残すもの後で使う場面
いつ、誰が、どの測定器で条件を再現する
測った対象と測定値の生データ計算をやり直せる
繰り返し性・再現性・合計の%結論
判定と、やったこと次につながる

2つ目を残すのが大事です。%だけ残っていると、あとから条件を変えて計算し直せません。

取引先へ提出する場面もあります。そのときは生データも求められることが多くなっています。

手を打ったあとは、もう一度測ります。%が下がっていなければ、打った手が効いていません。

前後で比べられる形にしておくのが、いちばんの価値です。

簡易に確かめる方法

本格的にやる時間が無いときの形です。

1人が同じものを10回測って、ばらつきを見ます。これだけで繰り返し性の目安は分かります。

次に、3人が同じものを1回ずつ測ります。値が揃っていなければ、再現性に問題があります。

簡易な確認かかる時間分かること
1人×1個×10回10分繰り返し性の目安
3人×1個×1回10分再現性の目安

20分あれば、測定が怪しいかどうかの当たりは付きます。怪しければ、そこから本式のゲージR&Rに進みます。

この簡易な確認は、不良が出たときの初動に入れておくと効きます。工程を止める前に20分で確かめられます。

初動の進め方は不具合の初動対応にまとめてあります。

測定器そのものの管理

ゲージR&Rの前提になる部分です。

校正の期限が切れた測定器で測った値は、あとから使えません。ゲージR&Rの結果も同じです。

管理すること中身
台帳どの器が、どこに、何台あるか
校正の期限次はいつか
点検日常の確認。ゼロ点、外観
持ち出し誰がいつ持って行ったか
不具合のとき使用を止める。その器で測ったものを追う

5つ目が効きます。測定器に異常が見つかったら、前回の校正以降にその器で測ったものが対象になります。

そのため、どのロットをどの器で測ったかが分かる形にしておきます。検査の記録に器の番号を1列足すだけです。

遡る範囲の絞り方はトレーサビリティ体系図と同じ考え方が使えます。

月次 不具合集計表(Excel・無料)月ごとの発生件数を分類別に数え、前月との差を見ます。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

よくある質問

Q. ゲージR&Rで何が分かりますか。
測っている側のばらつきが、全体のどれくらいを占めるかです。繰り返し性(同じ人が測り直したときの差)と再現性(人が替わったときの差)に分けて見ます。どちらが大きいかで、直す相手が変わります。
Q. 何人で何回測りますか。
3人が10個を2〜3回ずつ、という形が一般的です。3人×10個×3回で90回、半日あれば終わります。対象の10個は、ふだんのばらつきを含むように選びます。
Q. 対象はどう選びますか。
規格の上限に近いもの、下限に近いもの、真ん中のものが混ざるようにします。全部が同じ寸法だと、差が出ているのか測定のせいなのか分かりません。測る順番はばらばらにして、番号は裏に書きます。
Q. やる前に確かめることはありますか。
校正が生きているか、分解能が足りているか、測る場所が決まっているかの3つです。規格の幅を10で割った値より細かく読めない測定器では、ゲージR&Rをやるまでもなく器を替える話になります。
Q. %はいくつなら合格ですか。
10%未満で問題なしとされることが多く、30%を超えるとそのままでは使えません。線の引き方は業界や取引先の要求で変わるので、自社が何を求められているかを先に確かめます。
Q. %だけ見ればよいですか。
繰り返し性と再現性のどちらが大きいかのほうが大事です。合計が同じ20%でも、中身が違えば打つ手が違います。繰り返し性なら測定器、再現性なら手順と教育です。
Q. 繰り返し性が悪いときは何を見ますか。
分解能、器の傷み、対象が動くこと、置き方、環境です。測定用の治具を作るだけで、ばらつきが半分になることがあります。手で持って測っているなら、そこから直します。
Q. 再現性が悪いときは何を見ますか。
測る位置・向き・当てる力・読み方・ゼロ合わせです。文章より図と実演のほうが伝わります。1回集まって同じものを全員で測るのが、いちばん早く揃います。
Q. どんなときにやりますか。
新しい測定器を入れたとき、新しい工程を立ち上げたとき、工程を調整しても不良が減らないとき、取引先から求められたとき、測る人が入れ替わったときです。3つ目がいちばん助かる使い方です。
Q. 時間が無いときの簡易な方法はありますか。
1人が同じものを10回測って繰り返し性、3人が1回ずつ測って再現性の目安を見ます。合わせて20分です。怪しければ、そこから本式に進みます。
Q. 結果は何を残しますか。
いつ誰がどの測定器で、測定値の生データ、繰り返し性と再現性と合計の%、判定とやったことです。生データが無いと、あとから条件を変えて計算し直せません。手を打ったあとは、もう一度測って下がったかを見ます。
限度見本・基準見本 管理表(Excel・無料)合否の基準になる見本を、置き場所と有効期限つきで管理します。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-09-27時点のものです。