連関図とは?特性要因図と使い分けると迷わない
連関図は、原因と結果を矢印でつないで、からみ合った関係を1枚に描く図です。新QC7つ道具のひとつとして知られています。
描き方そのものは難しくありません。要因を書き出して、原因のほうから結果のほうへ矢印を引く。それだけです。迷うのは、特性要因図があるのになぜ連関図を使うのか、という点です。
この記事では、連関図を、特性要因図との使い分けから、描いたあとに何を選ぶかまでまとめます。
この記事の内容(8項目)
連関図は、要因どうしがつながっているときに使う
2つの図は、向いている場面が違います。
| 特性要因図 | 連関図 | |
|---|---|---|
| 形 | 骨の形に枝分かれする | 矢印が自由に行き来する |
| 向く場面 | 要因を漏れなく挙げたい | 要因どうしが影響し合っている |
| 分類 | 4Mなどで先に分ける | 分けずに出してからつなぐ |
| 読み取るもの | 枝の先にある細かい要因 | 矢印が集まる/出ていく要因 |
ポイントはここです。特性要因図は、要因が独立しているものとして描きます。実際には「人が足りない」が「教育ができない」を生み、それが「作業のばらつき」につながる、といった連鎖があります。
その連鎖を見たいときが連関図の出番です。逆に、まず漏れなく挙げたいだけなら特性要因図のほうが早く描けます。
要因の挙げ方そのものは特性要因図にまとめてあります。連関図でも、出す作業は同じやり方が使えます。
連鎖が見えると、対策の打ち場所が変わります。末端の要因を1つずつ潰すより、連鎖の元を1つ直すほうが効く場面があるためです。
逆に、要因が本当に独立しているなら、連関図にする意味はありません。矢印を引こうとして引けないなら、特性要因図で足りているということです。
連関図の描き方は4つに分かれる
順番はほぼ決まっています。
| 順番 | やること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1 | 結果を真ん中か端に置く | 「不良が多い」ではなく「○工程の寸法不良が月20件」 |
| 2 | 要因を思いつく順に書き出す | 分類しない。1枚に1つ書く |
| 3 | 原因から結果へ矢印を引く | 向きを必ず決める。双方向にしない |
| 4 | 矢印の集まり方を読む | 出ていく矢印が多いものを拾う |
1つ目で具体的に書けているかが、全体の質を決めます。「品質が悪い」では、要因も抽象的なものばかりになります。
2つ目では、20から30枚くらい出します。少なすぎると連鎖が見えず、多すぎると矢印が引けなくなります。
3つ目の矢印は、「これがあると、これが起きる」という向きです。迷ったら、その1文を口に出して確かめます。文にできないなら、そのつながりは思い込みです。
紙よりも付箋が向いています。書いた要因を動かせるので、矢印が引きやすい位置に並べ替えられます。最初から清書すると、位置を変えるのが面倒になって矢印が減ります。
4つ目に進む前に、一度手を止めて図を眺めます。矢印が一方向に流れているところと、渦を巻いているところが見えてきます。渦のところは、悪循環になっている場所です。
連関図は矢印の出入りで読む
描き上がった図から何を拾うかが、いちばん使われていない部分です。
| 矢印の形 | 読み方 | 扱い |
|---|---|---|
| 出ていく矢印が多い | ほかの要因を生んでいる元 | ここを直すと連鎖が止まる |
| 入ってくる矢印が多い | いろいろな原因の受け皿 | 症状に近い。直しても再発する |
| 出入りが1本ずつ | 枝の途中 | 単独では効きにくい |
| 矢印が無い | つながりが確かめられていない | 関係あるか考え直す |
直す先は、出ていく矢印が多いものです。入ってくる矢印が多いものを直しても、上流が変わらないかぎり戻ります。
とはいえ、出ていく矢印が多い要因ほど、直すのに時間と費用がかかることが多くなります。すぐ効く対策と、根を断つ対策を分けて考えます。
分け方は暫定対策と恒久対策の違いにまとめてあります。
矢印の数を数えるだけでも、優先順位が見えます。出ていく矢印が3本以上あるものは、たいてい2つか3つに絞られます。そこが最初に確かめる候補です。
ただし、数が多いことと効き目が大きいことは別です。矢印が多くても、それぞれのつながりが弱ければ効きません。数で候補を絞ってから、実際の記録で確かめます。
連関図は全員で描くと矢印が変わる
1人で描くと、その人の頭の中の地図になります。
実際にやってみると、工程が違う人どうしで矢印の向きが食い違います。前工程の人は「後工程の確認が甘い」と引き、後工程の人は「前工程からばらついて来る」と引く。
この食い違いこそが、拾いたい情報です。どちらが正しいかを決めるより、両方の矢印を残して、あとで実際のデータで確かめます。
そのため、描くときは4人から6人くらいで囲む形が向いています。多すぎると発言しない人が出て、少なすぎると視点が偏ります。
参加する人には、事前に対象だけ伝えておきます。その場で対象から説明を始めると、要因を出す時間が短くなります。
現場を見てから描くのと、会議室だけで描くのとでは、出てくる要因が変わります。可能なら、描く前に対象の工程を全員で一度見ます。
出てきた食い違いは、認識のずれとして別に記録しておきます。扱い方は認識違いを防ぐが参考になります。
描く時間は1時間から1時間半が目安です。それ以上かけると、細かいところの議論になって全体が見えなくなります。時間で区切って、残りは次回に回します。
進行役を1人決めておくと進みます。矢印の向きで意見が割れたときに、その場で決めずに両方残す判断ができる人が要ります。
連関図から確かめる順番を決める
描いただけでは何も変わりません。次にやるのは、矢印が本当かを確かめることです。
全部は確かめられないので、順番を決めます。目安は2つです。
- 出ていく矢印が多いものから。効いたときの範囲が広い
- 手元の記録で確かめられるものから。新しく測らずに済む
確かめ方は、その要因があるときと無いときで結果が違うかを見ます。日報、不具合の記録、設備の履歴。すでにある記録で見られることは多くあります。
確かめた結果、つながっていなければ矢印を消します。消した記録も残します。次に同じ図を描く人が、同じ確認をやり直さずに済みます。
記録からの探し方は類似不具合の検索にまとめてあります。
確かめるときは、1つずつ順に進めます。同時にいくつも確かめようとすると、どれが効いたのか分からなくなります。
確かめた日付と、見た記録の名前も残します。「日報の8月分を見た」まで書いてあれば、次の人が同じ場所を探さずに済みます。
連関図が描けないときは、問題が大きすぎる
矢印がどこにも引けない、あるいは全部がつながってしまう。どちらも、扱っている問題の大きさが合っていません。
「品質を上げる」「生産性を改善する」のような大きすぎるテーマだと、要因が抽象的になり、どれも関係あるように見えます。
そのときは、対象を1つの工程、1つの不具合、1つの期間に絞ります。絞った分だけ矢印がはっきりします。
逆に、要因が5つ6つしか出ないときは、連関図を使うほどではありません。なぜなぜ分析のように、1本の線で掘るほうが早く終わります。
掘り方はなぜなぜ分析にまとめてあります。
絞るときは、期間・工程・品種のどれかで切ります。3つとも切ると対象が小さくなりすぎて、要因が2つ3つしか出なくなります。まず1つ切って様子を見ます。
逆に、大きいテーマを扱いたいなら、小さく切った連関図を何枚か描いて、あとから並べます。1枚に詰め込むより読み取れる形になります。
連関図を残しておく
描いた図は、その場で写真に撮って終わりになりがちです。
残すときは、4つを書き添えます。いつ描いたか、誰が描いたか、対象は何か、そこから何を確かめることにしたか。
とくに4つ目が要ります。図だけ残っていても、そこからどう動いたかが分からなければ、次に同じ問題が出たときに使えません。
そのうえで、確かめた結果も後から書き足します。矢印が消えた、つながりが裏づけられた。この履歴があると、図が資料から記録に変わります。
付箋で描いた図は、そのままの形で清書しなくて構いません。読めれば足ります。清書に時間をかけるくらいなら、確かめるほうに時間を使います。
次に同じテーマで描くときは、前の図を持ってきます。消えた矢印と残った矢印が分かっていれば、同じところから掘り直さずに済みます。
原因を掘る図に対して、これから進めることを描く図もあります。うまくいかない場合を先に書いておく形はPDPC法にまとめてあります。
よくある質問
- Q. 要因が思うように出ません。
- 対象が抽象的なことが多くなります。「不良が多い」ではなく「○工程の寸法不良が月20件」まで具体的にすると、出てくる要因も具体的になります。それでも出ないときは、現場を歩いてから描き直します。
- Q. 付箋とホワイトボードのどちらがよいですか。
- 付箋が向いています。書いた要因を動かせるので、矢印を引きながら位置を変えられます。ホワイトボードに直接書くと、位置を変えたいときに書き直しになります。
- Q. できた図はどのくらい使えますか。
- 対象の工程や条件が変わるまでは使えます。変わったら、矢印の前提も変わっているので描き直します。半年から1年で見直す形が多くなっています。
- Q. 連関図と特性要因図はどちらを使いますか。
- 要因どうしが影響し合っているときは連関図、まず漏れなく挙げたいときは特性要因図です。迷ったら特性要因図を先に描いて、枝の間につながりが見えたら連関図に移す形もよく使われます。
- Q. 矢印はいくつまで引いてよいですか。
- 数の上限はありませんが、引きすぎると読めなくなります。「これがあると、これが起きる」と口に出して言えるものだけに絞ると、自然に減ります。
- Q. 矢印が双方向になってしまいます。
- その2つの間に、別の要因が隠れていることが多くなります。間に1つ足してみると、片方向の矢印2本に分かれます。それでも双方向なら、循環していること自体が問題の構造です。
- Q. 何人で描くのがよいですか。
- 4人から6人くらいで、工程の違う人を混ぜる形が向いています。同じ工程の人だけだと、見えている範囲が重なって矢印が偏ります。
- Q. 描いたあと何から手をつけますか。
- 出ていく矢印が多い要因からです。ただし、そこは直すのに時間がかかることが多いので、すぐ効く対策を並行して打ちます。
- Q. 連関図はどのくらいの大きさになりますか。
- 要因が20から30枚くらい、矢印が30本前後が扱いやすい大きさです。それを超えると、見た人が読み取れなくなります。大きくなりすぎたら、対象を絞って描き直します。
- Q. 描いた図を報告に使えますか。
- 使えます。ただし、図だけを載せると読む側が迷います。矢印が集まる要因はどれか、そこから何を確かめることにしたかを、図の下に2行添えます。
- Q. エクセルで描けますか。
- 描けます。図形と矢印だけで足ります。ただし最初から画面で描くと、要因を出す作業と矢印を引く作業が混ざります。付箋で出してからエクセルに移すほうが早く終わります。
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